黒の国〜影の森〜

誰しもハッピーエンドな訳は無いのだから。バッドエンドはすぐ其処まで来ている。

長編オリソニ小説 〜永久の月光花〜No.8  1/2

 

 

 

 

 

 

  • これは、別のサイト「動くメモ帳」にて公開中の長編オリソニ漫画の小説版です!
  • 漫画とは少し表現が変わっていたり、会話文等が少し変更されている箇所もありますが、基本ストーリーは一緒です!
  • まだまだ漫画は始まったばかりなので、続きの話が出来次第二巻、三巻、と更新して行こうと思っております。
  •  尚、二巻から先は書き下ろしになりますので、pixivの方には出しておりませんのでご注意ください
  •  誤字、脱字等がございましたら言ってください。 

 

この小説を読む際のご注意


・この小説は、あくまで私のオリソニ、を中心としたオリジナル小説です。
・この小説と、ほかのサイトにうPした漫画をセットで読んでいただくと、また面白いと思います。
・この物語の舞台は、ソニック達がいた、100年後の世界です。
それをご了承の上でお読みください。OKな方のみどうぞ

 

 

第二十章〜夕闇〜

 

 

 

「すみません、もう部屋は満室でございまして・・・」

「えちょっ・・待てって・・・・」

すみません。そう言い宿の主はバタリと戸を閉めてしまった。

周りはもう暗くなって、街灯がぽつぽつとつき始めていた。

割と肌寒くなって来たのにもかかわらず、それでもまだ中心街は賑わっていて、先ほどついた僕達は今夜の寝泊まりをする宿を捜すのに近くの宿を当たっていた。そして、今に至る。

 

「またかよ」

そう言いがっくりとうなだれて肩を落とすスパークは今日何度目か分からないため息をついた。

「もしかしたらまだ部屋が開いてる宿があるかもしれないよ。気を取り直して捜そうよ」

「でもよ、これでもう七軒目だぜ?」

「確かに・・・・」

「まぁ最悪の場合、野宿という手も無いわけじゃないけどね」

「それはちょっと・・・この時期だし・・・・ね」

季節は冬真っ盛り、と言ってもテュカリエトの地方は冬は割と温暖な地域が多いためか、季節関係なく過ごせる。でもこの季節は寒い

 

「やっぱだめー?」

「俺はめし食えればどこでも良し!!」

「あんたねぇ」

結局なんだかんだ言ってついて来ているこの赤毛のワンコは花より団子のようだ。まあ、分かりやすい所が扱いやすいんだけども。

「あーちくしょう、腹減ったぁ」

俺死にそう・・・・。スパークも、着いた時の元気はどこへやら、すっかり元気を失ってしまっていた。

 

 

「あ、スパークさん!」

そう呼ばれ、空腹やら何やらで機嫌が悪いスパークはその相手を睨んだ。

 

人混みをかき分けて駆け寄って来たのは一人のウサギの少女だった。

 

 くせ毛のある白い毛にクリーム色メッシュが入っているようなふわふわの耳に、 人なつこそうなその笑顔、蒼い瞳 には曇りが無く、誰もが引き込まれそうなくらいに滄溟であった。

「何だロテアか」

「なんだじゃないですよスパークさん、どうされたのですか?こんな道ばたで・・・。」

仕方なく、此処までの経緯を彼女に説明した。

「泊めましょうか?私のお手伝いしている所でよければ」

「良いのか!?」

僕達はびっくりして彼女を凝視した。

彼女はある大きなお屋敷で働いているのだそうだ。今日は屋敷の主が居ないので、メイド達は休みだったり自宅に帰るものも多かったのだそうだ。

「結局お屋敷の中に残ったのは私とメイド長のミルフィーユ様くらいですから寂しかったので、よろしければどうですか?」

「寒い親父ギャグを聞く事になるかもですけど」と、その後に付け加えた。

僕達はロテアのその言葉に甘えさせていただく事にした。

 

 

 

 

 

ロテアは今夜の料理で使うと言う食材を買いに来たのだとか、せっかくだから気合いを入れます!と、しばし買い物に付き合わされ、そのお屋敷へたどり着いた。

 

「ただいまかえりましたー」

「おかえりなさい。ん、なんや?其方のあんさんたちは」

「えっとですね。私の知り合いなんですけど、今日泊まる所が無くて今日、泊めて差し上げてもよろしいですか?」

メイド長は少し悩んだが

「せやね、今日は使人達はうちら以外おらへんしええやろ、さぁ皆はん中にはよお入りなさいな。」

 

快く中に入れてくれてメイド長は笑いながら長い廊下を歩き、部屋まで案内してくれた。行くまでの途中、舞踏会などもたまに開かれるという大広間にも案内された。「この造り、どこかで見た。」なんてメイド長にどういう造りなのか聞いて見ると案の定「このお屋敷はレヴィカルトのアファレイド王宮をイメージして作ってあんねんて」とのことだった。

 

泊まる室内はすごく豪華で、天井にシャンデリアが飾ってあった。

これもきっとアファレイド王宮の造りを意識したものなのだろう。床には魔方陣のような幾何学模様がタイルで描かれていた。

「ものを壊さねぇようににしないとな・・・。」

スパークはそこにおいてあったグラスを慎重に持ち上げた。

 

「そういえば、もう一方この屋敷に来た者達がいはりましてな。向かいの部屋に居はるんで、くれぐれも大騒ぎはせえへんようにな」

あらかじめ騒ぐ事を予告していたかのような口ぶりで、大きな声で話し、では。と言い戸を閉めて出て行った。

 

「向かいにも、誰か泊まってんのか・・・・」

スパークは、向かいの部屋の人の事が気になったらしく、ミルフィーユが開けっ放しにして出て行ったとをジッと見つめていた。

 

「とりあえず泊まる場所が見つかって良かったよ、見つかんなかったらこんな寒い中外で野宿なんて、考えただけでぶるぶるだもの」

サファリは展望デッキのある大きなガラスのドアの方に歩み寄り、ドアノブを回して外へと出て行った。

 

開け放たれたドアを、この町特有の冷たすぎず暖くない生暖かい風が吹き抜けてゆき、架かっていた、おそらく遮光カーテンだと思わしきものを靡かせて、室内の空気を入れ替えてゆく、開け放たれた扉は月光に反射し、きらきらと光っていた。

 

「サファリ、寒いから閉めろよ」

スパークはううっと呟いて、寒いというポーズをした。

「どこかで見たよ・・・。」

「ん?」

シャオンは呟いて、開け放たれた扉の前に仁王立ちになった。

「どうしたんだよ、シャオン」

「何も無いよ」

 

「そ。なんかあったら言えよ、友達だろ?」

彼は僕の目をじっと見てそう言うと、クスリと笑って僕の横を通り抜けていって、デッキに居るサファリを呼んでから扉を閉めた。

スパーク本人は気づいては居ないようだけど、僕の事についてはあまり触れないようにしてくれている事が少し嬉しかった。

 

「スパークさん、夕食の仕度ができましたよ。」

ちょうどいいタイミングでロテアが部屋の扉をノックして僕達を呼びに来てくれた。

「おうよ、いこうぜ!」

食べ物の事になると早いステアが先陣を切って部屋を飛び出して行った。

「んもぅ、そんなに急がないの!」

「そうだぜ。飯は逃げねぇってwwシャオン、先に行ってるからな」

「うん」

 

綺麗な琥珀色。この町から見えるあの満月みたいに綺麗で、鮮明な黄色。

 

「分かってるよスパーク。僕達は友達だもんね」

彼の言った事を彼に聞こえないように復唱して部屋を出た。

 

 

 

 

その仲がいつか、崩れるのだとしてもさ。

 

 

 

 

 

 

 

「うおぉぉぉお!!飯だ!!」

「すごい・・・・」

此処についた僕達は全員息を吞んだ。

だって、テーブルの上にはステーキやラザニア、ピザ、デザートには巨大パフェ・・・・・etc...

「いいんですか!?こんなに豪華な料理を」

「ええんやええんや(笑)せっかくなんやから、奮発させてもろた。主人には後でなんとか言うておくから大丈夫や」

 

あまりの豪華さに驚愕する僕達をよそに彼女は豪快に笑っていた。

「早く食おうぜ、冷めちまう!!」

ステアは食べたいあまり、涎を垂らしている。正直きもい。

「んじゃあ食おうぜ。」

「あれ、別のお客さんは?」

「あの方はお部屋の方で召し上がりたいとの事でしたので、お部屋にお持ちいたしました。」

「そうなんだ。」

せっかくなのだから、一緒に食えば良いのになんて、スパークが言ったらミルフィーユが訳があるんやろ。なんて言って、スパークを黙らせた。

席についていただきますをして、各自思い思いに食べ始めた。

 

「なあミルフィーユさん。カオスエメラルドって知ってるか?」

スパークが口を開いたのは、皆がそろそろデザートに入る頃の事だった。

「ん?」

スパークがカオスエメラルドのカの字を出したとたんに目つきが変わった。

「あんた。カオスエメラルドに何する気なん?」

「知ってんのか!?カオスエメラルドの事!」

「知ってるも何も、うちがそのカオスエメラルドの守護者や。」

「はい?」

 

 

 

その言葉で、僕達は固まった。この沈黙の間が何時間にも思えた。それを解くかのように、彼女は次の言葉を発した。

「で、あんたはカオスエメラルドの場所を特定しようとしてるんか。この守護者のうちから?」

クスリと笑う。気がつくと彼女の片手には、短剣が握られていた。

守護者・・・・・・、ぽつりと呟いてスパークはやっと理解したかのように彼女をまじまじと見つめ・・・・。

 

 

「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

「なんや、気づいてへんかったんか。」

ミルフィーユはその言葉で警戒を緩めたらしく、片手に持っていた短剣は、いつの間にか跡形も無く消えていた。

「お、お前、守護者だったのか!?ならよかったぜ、話しが早い。」

俺実は・・・・と、自分の立場の事を彼女に軽く説明した。

彼女は最後のほうで「もうええ、あんさん達の立場はよう分かりましたわ。ほな、うちはそろそろ後片付けに移りますさかい、皆はん各自食器をはこんでくださいな。ロテア、あんたは自室で食事されている方の食器を片付けて来なはれ。」

そう言い彼女は食器を片付けにキッチンへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「スパークはん、あんさん別の方の事を気にしてはりましたやろ。」

「あ、ああ」

食後、だだっ広い居間には不釣り合いな小さなこたつに入って皆でテレビを見ている最中に、ミルフィーユが聞いて来た。

「あの方々は、うちの知り合いでな、すごい事件を起こしたもんなんや。」

そう言いながら一房みかんを口の中に放り込む。

「すごい事件?」

「アファレイドのもんなら誰でも知ってる話しや。此処最近、アファレイドで政治改革が起こり、できなかった異種族結婚ができるようになったきっかけとなった事件を起こした人物。」

「??」

     

               2/2へ続く

一人は言う、「戦いなど虚しいだけ』 一人は言う、「僕を一人にしないで』 一人は言う、「人それぞれで良いのだ』 一人は言う、「片方を守る者、もう片方を失う」 四人は言う、「この物語を作るのは自分たち自身なのだ。』と、 だから僕は守る、彼女に頼まれたあの子と、この世界の運命を・・・・・・・・