永久の月光花No.7 2/2
第十七章〜事実〜
詳しい事は告げられず。ただついて来てください。と言われた
スパークはそれに頷いて、僕を促して今は元来た道の方へ引き返して来ている。気がついたらそこは、開けた場所だった。
「紅月の始罪については、先ほどあなた方が聞いた通りです。そして、今の政治を行っている者達はその王の従者だったもの。」
シャーレクは呟くように行った。
「カオスエメラルドを集めるのであれば、守護者達の協力を得なければなりません。まず始めに行くべき街は、食の街テュリネイトに行くべきです。そこから先は、僕には分かりません。」
「行くならまず、テュリネイトか・・・・」
「そこには女性の守護者がいらっしゃいます。まずはその方を捜すなり、エメラルドの祀られている神殿に行くなりするのがよろしいとおもいます。
守護者の特徴はマリンブルーの毛並みで、髪の毛(?)を後で束ねております。口調は関西弁です。捜すのであれば、大きなお屋敷を捜されるのがよろしいかと・・・・・。」
「屋敷・・・・?何故だ」
「彼女はあるお屋敷で働いてるのですよ。何処に働いているのか、と僕が聞きましたら『そんな個人情報教えられないで!!貴方は変態なんか?そうなんか!?』と、なんかすごい形相で問いつめられまして・・・・」
へへへへ・・・。と苦笑するシャーレク
「つまり、僕達自力で探し出せとそういう事なんだね。」
「じゃあ俺達は神殿に行こうぜ、捜すんだったら神殿でまつ方が早いだろ?」
んじゃ!!と、今にも雲に乗って下界に下りてしまいそうなスパークを引き止める。
「んだよシャオン」
「サファリ達をその前に捜さなきゃ」
「あ、そうか」まるで今まで忘れていたかのように笑い
「じゃあ早く見つけ出さないとな」
そう言って今度は僕を置いてさっさと森の中に入って行った。
「シャーレク、ありがとう。」僕はそう言い頭を下げ、スパークの後を追って森の中に入って行った。
「気を付けてくださいね」
後の方で呟く声が聞こえた。
〜間〜
「この辺だよね、スパーク達が行ったとこ・・・・。」
「知らねぇよ、俺に聞くなってぇの!」
半分切れているステアは腕を組んで辺りを見回していた。
あんたが此処に連れて来たんでしょと、心の中でつっこんだ。
何で森の中で立ち往生しているのかと言うと
「あ〜もうくそ、迷った!」
ステアはその場で叫んだ。
「どうしよ、まさかこんな浮き島でまいごになるなんて、思っても見なかったし」
「サファリさん、本当に出られるのですか?早く帰らなければ、雨津様に置いてかれてしまいますぅ」
先ほどからべったりとくっついて離れない晴夢はもうすでに半べそ状態だ。
「とりあえず、左に行こっか」
そう言って自分より四つも年上の晴夢をなだめつつ、左へ曲がる。
日はもうすでに沈みかけており、辺りは真っ赤に染まっていた。
「どうしよう・・・・。」そう呟いた時、向こう側から見慣れた二人の人影がこっちに向かって来た。
「サファリ、こんなとこに居たのかずいぶん捜したんだぞ!」
「あ、晴夢、お前雨津がさっき捜してたぞ。『見つけたらマスターなんとかの所まで来てください。』だってよ」
「エメラルドだよ、スパーク」「ん?あ、そうだったっけ」
二人はへらへらと笑いながら晴夢に話す。
「良かったです。まだ帰っては居なかったのですね。では私も早く行かなくては」「あーエメラルドのどーのこーのは、あっちにまっすぐ行けばそのうち会えると思うぞ」
スパークはそう言い元来た方を指差す。
『マスターエメラルドね。』シャオンは苦笑した。
「あ、ありがとうございます。」
お世話になりました。このお礼は何れまた。
そう言い晴夢はスパーク達が来た方へと駆け出して行った。
第十八章〜幻聴〜
「よし、みんな揃ったし、次行く街も聞いたし、そろそろ行こうぜ」
再びスパークの愛雲『雲ちゃん九号』に乗り込む前にスパークが言った。ぼくは「うん」と言って頷く。
でも・・・・
「「次行く街って?(どこだ?)」」
「そっか、君達は聞いてなかったんだったね。」
「んじゃあ、ちゃんと言わなきゃだな。次の目的地は食の街テュリネイトだ。」
「「テュリネイトぉ!?」」
「なんだよ」
いきなりの大声に驚かされ、スパークは苛立たしげな声を上げた。
「「テュリネイトって」」
まだ此処までは良かったんだ。次に発せられた言葉に僕はびっくりした。
「一日百個限定の鶏肉の照り焼きが食えんじゃん!!」「やった!!一日千個限定の苺大福が食べられる!!」
「お前ら食いもんの話か!」
「ははははははは」
二人は目を爛々と輝かせて言う。僕も笑ってしまった。僕が予想していたのは「どこだ」だったのに、まさか食べ物の話だとは・・・・・しかも限定品ばっかりって・・・。
けたけたと笑い転げている僕をよそにスパークは二人を一瞥して一言。
「でもよ、さっさと行かねぇとだし、自分たちの用事なら俺達の大きな用事が終わってk「「ふざけんなよ、こっちだってさっさと行かないとすぐ無くなっちまう限定品なんだよ。」」
一方はカオスエメラルド、もう一方は食べ物
ヤバい、だんだん低レベルの喧嘩に見えて来たよ。
「ねぇ三人とも、どっちにしろ今日はもう限定品売り切れてるよ。だからさ、ひとまず今日はテュリネイトで宿を取って、一泊してから朝一で二人の買い物して、それでカオスエメラルドを探しに行こうよ」
もうすでに争いが始まりそうな雰囲気を取り消すかのように僕は口を挟んだ。最後に「それなら文句は無いよね」と、軽く三人を睨んだら、全員が「はい」と答えた。
「じ・・・・じゃあもう行こうぜ」「「うん」」
そう言い三人はさっさと乗り込んだ。
「シャオンも早く来いよ」
そう言いスパークが呼んだから僕も乗り込もうとした。
(聞こえるか。)
なんなの?頭に直接響くこの声は、聞き覚えがあるんだ。
「誰?」
僕は辺りを見回した。でも誰もいない
(俺はお前の全てを知るもの)
「おい、どうしたんだよシャオン」
スパークは僕を心配して雲から降りて来た。どうやら僕以外にこの声は聞こえていないようだ。
(名前は言えない。)
「言えないって、どういうこと?」
(俺は追われている。闇の破壊者紅月から、できるだけ足跡は残したくはない。)
「きみは一体誰なの?何でキミは僕の事を知ってるの?教えて、僕は誰なの?僕はどこで生まれて、どうして此処に居るの?」
(それはまだ明かす事はできない。俺は追われている。一つだけ教える事ができるとするならば、俺は・・・・お前の幼い頃から側に居た。)
「どういう事?キミは僕の大切な人なの?」
両親、という言葉が駆け巡ったがそんな感じはしなかった。
(まぁ近いが、別の意味でだな、いずれ又会おう。そうだな、アファレイドで待つ。まぁ、アファレイドで会わなくとも近いうちに会うだろうが・・・。)
「・・・・・・・ウォイス?」
(・・・・・・っ!?)
特に何の証拠もないのに一つだけ覚えてるその人の名を呼んだ。
声の主が少しうろたえたのが分かった。もしかして・・・・・。
「キミがウォイスなの?僕の事知ってるんでしょ?ねぇ」
(またな。)
最後の声はまるで、突き放すような感じだった。聞きたくない。と言うように
もうそれっきり、声は聞こえなくなった。
「大丈夫か?」
僕は声が聞こえなくなってから少しだけ空を見上げていた。
その間スパークは心配になってずっと声をかけてたみたいだったけど気付かなかった。
気がついて僕は、さっきみたいにスパークに押されながら雲に乗り込んで、ぼんやりとしたまま、次の街へ行く事になった。
その間、僕はぼーっとしていて、何も覚えてなかったんだ。
第十九章~鏡~
「見つかった。」
「本当ですか。この時代に・・・」
「微量だが、彼奴の魔力があった。初めて紅月と縁があって良かった。この時代に、いや彼奴の魔力に引き寄せられたとしか思えん。」
「何かあったのですか?」
「・・・・・・悟られただけだ。気にするな。あと、彼奴はやはり記憶をなくしていた。」
「記憶・・・・ですか。」
「大丈夫だ。記憶はいずれ、取り戻す。」
「よろしかったのですか?話さなくても」
「事実を話すには今はまだ早いのだ。それに、彼奴はまだ自分の立場を理解していない。近いうちに話す事になるだろうな。」
「と、言う事は彼が理解するまで待つ。という事ですか」
「そう言う事になるだろうな。フォルカ」
「?」
「すまないがこの鏡は返すぞ。そろそろ行かないといけない。」
「はい。もう鏡は 必要ないのですか?」
「あぁ」彼は短く答えた。
渡された鏡を丁寧に抱きかかえる。
「協力できるならばいつでも私は力になりますからね。」
「分かっている。」
そう言い彼は、ソシアが待つ入り口へ、歩いて行った。
「相変わらず、愛想が無いやつね。」
クスリと笑って鏡を戻しに奥へ行った。
見つけられて良かったじゃない。あんなに必死になって探した弟子を見つける事ができたのだから。
約100年もかかっちゃったけどさ。
H25.1.7 NEXT No.8
明けましておめでとうございます。
えっと、今回は謎多きシャオン様の正体が、うっすらと見えかかりましたが、雷雲の如くまた分からなくなりましたね・・・・はい。
実は若干poru様の作品を擦ってるんですよ。(何話かは忘れましたが)
謎の声の持ち主が話しかけてくる辺りです。フォルカ様とかもporu様からお借りいたしました。
そして、ヴィクトリカちゃん&レイド君を憂音様事(元)なると様から、シャーレク君をさな様からお借りしました。
雨津・晴乱・晴夢は我が家の子です
他の方はめんどくさいので省略((
というか、毎度毎度登場してくるので、はい。
とりあえずこの辺で終わろうと思います。
今年一年が皆様にとっていい年である事を祈ります。
では^^* 影楼@