黒の国〜影の森〜

誰しもハッピーエンドな訳は無いのだから。バッドエンドはすぐ其処まで来ている。

長編オリソニ小説 〜永久の月光花〜No.11

  • これは、別のサイト「動くメモ帳」にて公開中の長編オリソニ漫画の小説版です!
  • 漫画とは少し表現が変わっていたり、会話文等が少し変更されている箇所もありますが、基本ストーリーは一緒です!
  • まだまだ漫画は始まったばかりなので、続きの話が出来次第二巻、三巻、と更新して行こうと思っております。
  •  尚、二巻から先は書き下ろしになりますので、pixivの方には出しておりませんのでご注意ください
  •  誤字、脱字等がございましたら言ってください。 

 

この小説を読む際のご注意


・この小説は、あくまで私のオリソニ、を中心としたオリジナル小説です。
・この小説と、ほかのサイトにうPした漫画をセットで読んでいただくと、また面白いと思います。
・この物語の舞台は、ソニック達がいた、100年後の世界です。
それをご了承の上でお読みください。OKな方のみどうぞ

 

 

 

 

 

 

第二十九章~正当と虚構~

 

「君が、ウォイスなんでしょ?」

一瞬動揺した自分がいた。

「・・・・。」

「ソシアさんがウォイスさんって呼んでたよね。君がウォイスなんでしょ?」

そうだ、ソシアが先ほど俺の事をそう呼んでいた。あんな所で出くわすなどと、思いもしていなかった。あれは完璧に俺の誤算だった。

 

「そんな事より、怪我人の手当が先だ。何故俺がとどめを刺さすのを止めた。」

 

「君がさっき言ってたじゃない、『まずは俺の質問に答えろ。お前の質問はその後だ。』ってさ、だから僕の質問を答えるのが道理でないのかな?」

答えてよ。そう言った彼に掴まれた腕が、さらに強く握られた。こんな事で、いつもミスをする事のない俺がミスをした。明らかに動揺している事が分かる。

 

「俺はウォイスだが、お前など、見た事もない。あの時が初対面だ。」

お前の捜している奴は別の奴ではないのか?

「そっか、じゃあ何で僕に本名を明かさなかったの?」

「初対面の奴に本名を明かすのは訳あって懸念している。まぁ、そっちも上の方だが、名前の・・・・。おかしいか?」

「そっか、なんか今日の僕おかしいなぁ・・・。」

どっかで見た気がするんだよ、君を

 

「どこかの町であっても可笑しくはなかろう。ところで、カオスエメラルドは・・・・。」

「あっち。ソシアさんに渡してきたよ。」

彼はそう言ってソシアの方を指差す。あれほど不用心にものを初対面の人に渡すなと言ったのにな。

ソシアのその手には、海の底のように青いエメラルドが一つ、彼女の手のうちにあった。

 

 

 

 

回章~持論と偽善と愛と~

 

 

「よく聞け、これから封印の計画を言う。」

二重大結界についての打ち合わせの会議を開く。・・・と言っても、魔力を持つ者同士でのテレパシーでの会話だが、

 

「まずは、封印のために必要となる人柱についてだが、此処はシャドウとシルバー・・・で良いな」

反論がないから了承した事にしておく。

 

「肉体は封印せず、魂と分離させて後に破壊する。理由は知っての通り、紅月の体にはものすごい量の魔力が溜め込んでいるからだ。」

 

「待ってよ、何でラヌメットさんを殺さなくてはいけないの?彼はこの計画に利用されただけなんでしょ!?」

横から弟子が口を挟む。数年前に紅月に滅ぼされた王家の元王子だ。 無論、この会話も他の仲間達にも聞こえている。

 

「口答えするな×××、これは仕方がない事だ。」

「何で仕方がないの!?彼は、あのなんちゃらって言う一族の生き残りで、そのなんとかの知らない人に取り付かれて操られているだけなんでしょ!?」

 

あの人は悪くないんでしょ!?彼の一言に俺は『分かっている』そう答える事しかできなかった。

俺は恐れている。また、あんな事が起こるのが・・・。

 

「だが、肉体がある限り彼奴はまたラヌメット・・・基(もとい)紅月の体をとりに来るだろう。」

 

「ならウォイスが・・・!」「これで一旦終わりにする。」

あの時、そのまま自分勝手に会議を終了した。あの時の事は自分でも自重している。

その後、一応弟子には謝った。その子も謝った。彼は悪くはないのだが。

 

紅月、闇の住民もろとも封印し、あの子が結界内部に引き込まれた後に大結界の呪文に細工が施されていたのに気がついた。

だがもうそれは、後の祭りだった。

 

あの子はもう・・・・・

 

×××

 

 

 

最近・・・とは言うものの、数十年程前の話しだ。

私の新しい主として守る事となった若い小娘との出会いの話し。

 

率直に言うと私はこの村で、私は恐れられている。別に何をされた訳でもした訳でもない、ただ純粋に恐れられているのだ。そうでなければ年に一度、私を祀る祭り事も行われるはずないのだ。

 

私ですか?私はこの“ルリの森”を守る守護神。名前はとうの昔に忘れてしまいました。

別に私が好んでここのカミサマになった訳ではないのです。

どこかの勝手な魔導士が、当時生身だった私に呪いをかけ、木と同化してしまったのです。

おかげで今の私は、当時の膨大な知識しか持たないまま生ている。だって、そのまま都へと戻る事は許されなくなってしまいましたので。

月がない、新月の時のみ魔力が弱まり、私の呪いは一時的に弱まる。その時のみ私は昔のように動く事が可能になるのです。その時を狙い、私は何度も都へ行こうとしました。

しかし朝になれば動く事は不可能になり、都に行けず私は呪いのせいなのか、元の位置に戻ってしまいます。

さらに植物との同化のせいで、植物の寿命生きられるようである。私の愛人はもうとっくの昔にしんでしまいました。それが一番悲しい事でしたかね。

 

その女性は守護者の娘様で、後にここを守るために次ぐと、聞いてはおりました。

その方がお無くなりになられた次の日からその娘様が私の新しき守るべき者となりました。

 

「よ・・・よろしくお願いします。」

 

何故あの人が頭を下げるのか分かりません。

私はこの方が幼い頃より大嫌いでした。恐がりで、いつもおどおどしていて大嫌いでした。

 

私が何故この方を守るのか、正直分かりません。記憶を一部ぬかれたのでしょうか、それともこの百年間で、考える事をしなくなってしまったのでしょうかね・・・。

ただ私は、この森の守り神として、この一族を守り続ける使命なのかもしれないと思いはしていますがね。

「泣き虫では困りますね。そんな事では悪しき者をこの聖なる森へ入れてしまいますよ。」

私が普通の姿を見た時の驚き方はすごく面白かったですね。

その日が初めてだったかもしれないです、都へ赴く事をしなかったのは・・・・

「私が手伝います。知り合いの魔導士さんに頼んで、ただ、何らかの代償がかかるかもしれませんが・・・。」

「それでよければ・・・」と言いました。こんな守護者さんは初めてです。

「よろしくおねがいします。」

私は頼みました。また日の当たる時間に動く事ができるようになるなら・・・・と。

彼女は嬉しそうに、都へ跳んで行きました。連れてこられた魔導士は、あの時の魔導士とよく似ていて、少々警戒してしまいました。

彼の言い分によれば、その人は彼の子孫に当たる人なのだそうです。彼は謝り、その呪いを解いてくれました。

ただ、完全には解く事はできませんでした。

それでも彼のお陰で、元のように動く事は可能になりました。瑠璃の森の外には出る事はできないようですが。

それでも良かったのです。動けるようになっただけでも。

 

彼曰く、これは当時かけられた呪いの後、この森の精霊(木霊)が植物と同化した自分自身に乗り移ったがために、この森から出る事はできなくなったという。

そりゃあそうだ。森を育み、平和を保てているのはこの森に妖精がいるからだ。妖精が森から出て行ったとなれば、その森は死滅すると言われている。

私から中にいる妖精を引きはがすとなるとリスクが大きいらしい。よくは分かりませんがね。

さらに運が悪い事に、この木はこの森の基盤となる大樹だったようで、その分格の高い妖精(木霊)が住み着いてしまったようでした。

 

さらに、術に失敗した場合に大樹が枯れれば、中に宿っていた妖精も消滅してしまいます。その妖精様はどうやらこの森の妖精さんの中でもリーダーに当たる妖精様のようでして、その妖精様が消滅すると、下っ端に当たる妖精様達は主人を失ってしまい、新たなる主人を求めて別の森へと出向いてしまうとの事です。

そのため、この森は死滅する事に間違いはないそうです。

 

 

魔導士が帰宅後、彼女と二人になりました。

「ありがとうございました。貴方は苦手ではございますが、私を歩ける様にしていただいた事は感謝いたします。」

元から話す事は苦手でしたので、口が悪い辺りは勘弁していただきたいです。これでも感謝はしているのです一応。

「はい。いえ、貴方が喜んでくだされば、私は嬉しいです。これからは、力を合わせてこの森を守護しましょうね」

彼女は戸惑っているものの、それでも私の言った事を理解したのか、いつも通りの笑顔で私に手を伸ばしました。

私はその手を強く握り返して答えました。

「よろしくお願いします。これからは私が側で貴方を守り抜きます。」

いつか、今日の借りを返すために・・・・

 

 

 

第三十章~気まぐれと~

 

「スパークの事だが、目覚めるまでしばらくかかりそうだ。」

ガリャリ、とウォイスがスパークの寝ている部屋のドアを閉めた。

ここはテュリネイトのミルフィーユのお屋敷。スパーク以外の全員は今はリビングにいた。

 

治療は一通りウォイスさんがやってくれた。ウォイスの治療が早かったお陰なのか、紅月から呪いをうけたステアの足の痣はすっかり良くなり、直にうけた右足のふくらはぎの辺りだけを包帯でぐるぐる巻きにしているだけであった。

サファリは何ともなかったような素振りでソシアさんとお話ししている。ウォイスがスパークの寝てる部屋から出て来たのに気がつき駆け寄って来た。

「ウォイスさん、助けてくれてありがとうございます。スパーク・・・大丈夫なんですか?」

「大丈夫だと思うが。外側の傷などよりも、精神面でのダメージの方が大きいかもしれないな。」

「そうですね・・・・・。」

サファリはシュン・・・。と小さくなった。

気分でも変えようと思ったのだろうか、ソシアが開放的な大きな窓を開け放った。「うーん気持ちいいです」と言って、思いっきり深呼吸する。

 

「ところでミルフィーユ、お前は何故気付く事ができなかった。結界を破って侵入されたのはそもそも、お前が気づかず連れて来てしまったからであろう。」

「せやから言うてるやろ!!うちかて気づかれへんかったんや。スペードはん達の気配で闇の気配が消されて・・!」

ミルフィーユも負けじとウォイスに言い返す。

「だからお前に何度も言っていただろう。入り口に術解きの印を結んでおけと」

「そんなレベルの高い呪印うちが結べるかいな。ならウォイスはんがはよう結んでくれれば良かったやないか」

ミルフィーユは半べそでがっくりと肩を落とす。

 

「ところで何故スパークがあの技を使う事ができた。」

「私もそれが不思議でたまらないです。ウォイスさん。あれはアーチメイジクラスのアファレイド大天候魔法。天候魔法を一度だけ強化する事ができる大魔法です。現在は危険な魔法として王宮倉庫に厳重に保管されてると聞きましたが・・・・。魔力を何も持っていないあの子に使えるはずはないのですよ。」

ソシアは考え込む。かぶっていたシスター帽が風でなびく。

「ルシアはメイジには届いていなかった。なのになぜ覚える事ができた。」

「さぁ・・・それは本人に聞かないと分かりませんし・・・。まぁ、彼女は元王女様ですし、書物を盗み読むする位は簡単でしたでしょうしね・・。」

 

ミルフィーユはしょんぼりとしたまま部屋をあとにして、ソシアさんとウォイスさんは何やら怖い顔をしたまま黙り込んでしまってて、僕達三人(?)は顔を見合わせた。

ステアはすぐにおにぎりを食べる作業に戻ったけど。

「あぁっ!!」

唐突にサファリが大声で叫んだ。

「どうしたの、サファリ?」「ふぐぐ?(何だ?)」「「!?」」

その場にいた全員がサファリに注目した。

「さっきの話しだけどさ、分かったよ。スパークの特殊能力だよ・・・・。スパークの能力は天候魔術とよく似ているし、効力も強い。でも私はその魔術の効力とかよく分からないんだけど。」

へへへへ、と笑って頭をかくサファリをウォイスは凝視して、また思考の海へと潜って行ったようであった。

「ちがうかな?」

「それだ!ルシアが覚えられた理由もそれろう。ランクが低くても、効力が大きくできればその魔法と平行してさらにランクの高い魔法を出す事は可能だ。スパークは多分たまたまなのではないだろうか」

 

そうだ。それだ。自分で納得したウォイスは微笑んだ。

「あ、そう言えばこれ、あなた方に返さなくてはいけませんね。」

ソシアはそう言って、持っていた鞄の中から青いカオスエメラルドを取り出した。

「次は、ラヌメット山脈に沿ってずっと北上して行かれるのですかね?」

「え、うん。まぁ、地図にはそう書いてあるからね。・・・・というか、何で知ってるの?」

「この土地の地図はもう頭の中に入っているので。」

手渡されたカオスエメラルドを手で抱えていると、ウォイスさんが見かねて魔法で一つ、小型のショルダーバッグを出してくれた。

見た目にあわず大容量で、地図とカオスエメラルドを入れたのに、まだまだ入る感じだ。それに、重さもあまり変わらないみたいだし。ド ◯ え ◯ んの四次元ポ ◯ ットかと一瞬思った程だった。

 

そのあとすぐにウォイスさんとソシアさんはミルフィーユさんとのやり取りがあった魔法をかけに、遺跡へと向かった。

僕達はとりあえず、スパークが目覚めるのを待つ事にした。

 

 

 

 

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あとがき

 

 

今回は短かったねぇ。(´・ω・`)=з

どうも黒っす。長いの期待してた人すみませんね。短くて

これでも前回よりも四千文字くらい少ないかと・・・((えwww

やけに短かった。だから久しぶりに一枚の記事でまとめられたよ。

 

ではまた十二話で合いましょう(*´∀`*)

一人は言う、「戦いなど虚しいだけ』 一人は言う、「僕を一人にしないで』 一人は言う、「人それぞれで良いのだ』 一人は言う、「片方を守る者、もう片方を失う」 四人は言う、「この物語を作るのは自分たち自身なのだ。』と、 だから僕は守る、彼女に頼まれたあの子と、この世界の運命を・・・・・・・・