黒の国〜影の森〜

誰しもハッピーエンドな訳は無いのだから。バッドエンドはすぐ其処まで来ている。

長編オリソニ小説 〜永久の月光花〜No.8  2/2

 

第二十一章〜Recollection〜

 

もともとアファレイドは、法律が厳しく王族には幾千と法律があった。

また、魔学にも優れていて、王国内にも十カ所の大きな魔法学校がある。

当時はまだ異種族結婚は平民達にしか許されてはいなくて、おうぞく(特に次期王位継承者の者)は、同種同色眼(同種族で、同じ色の瞳)のものとしか結ばれる事はできなかった。

 

その法律が改正された年に生まれたお姫様が今の天津姫である。

 

その天津姫が生まれる前のお話。

天津姫の年の離れたお姉様のお話。

王宮にはひとりのお姫様が居ました。彼女は魔術が堪能で(特に天候について)語学も優れていた。文学、運動神経共に抜群の姫君であった。

そんな彼女が十六の時、彼に出会った。

 

何の変哲も無い路地裏で

 

相手の青年は十八歳の針鼠だった。

針鼠の彼は悪戯が大好きで、面白い事を考えている時はいつも笑ってた。

月を映し出したかのようなその琥珀色の瞳は、誰もが見とれてしまう程美しかった。針は文字通りグレーで、所々に赤い混じり毛があった。

 

その当時、彼女は王だった父に、隣国の土地へ無理矢理嫁がされる事が決まっており、明日披露宴なのだ。それが嫌だ。と、出会ったばかりの彼に助けを求めた。

 

彼女はその時点で禁忌の恋に落ちていたのかも知れない。

 

「誰でも無理矢理は嫌だよな。」

彼はその時、然程気にしてないように笑い。翌日実行に移った。

元々王様に呼び出されていた彼は、姫君を連れ戻し、その晩開かれる舞踏会まで待った。

 

知り合いにも頼み、囮を使って姫を会場から連れ出した。

囮だとバレて、警官隊と王様に囲まれた姫は、「私はこの方と生きる。」そう言った。 

王は「今戻れば、王族の名を汚す事無く助け上げる事ができる。彼を殺せば・・・。」 

彼は少し戸惑った。しかし彼は、姫を抱きかかえ、ニシシと笑った「シンデレラは華麗に変身するんだぜ。」と言う謎の言葉を呟いた彼は、視界の悪い中大きな窓を開け放ち、王の制止の言葉も聞かず。二人で飛び出した。

王様は青年の方は自分で処刑する。我の前に連れて来い!そう命令し、兵は一斉に外へ二人を捜索しに行った。

しかし、その晩二人は見つからなかった。

寒い満月の夜、彼女は、愛する彼と二人きり、お城の天辺、鐘の鳴る塔の上で、二人は愛を誓い合った。

 

 

 

「とまぁ、こんな話しなんやけどね。」

「アファレイドでそんな事が・・・・」

 

サファリは何となくその国の事を知っているようで、興味津々に話しを聞いていた。何でも昔、よく一人で遠くまで使いに行かせられた事がよくあったらしい。

「で、その元お姫さんが今ここに泊まってるのか?」

「ま、そう言う事やね」

それ以上の事は言われまへんけど。そう言い、また本日何個目かも分からないみかんの房を口へと放り込む。

テレビにはいま流行の曲が流れていた。

 

「あの、スパークさん、明日早く行かれるのでしたら、もうお休みになられた方がよろしいのではないかと」

布団の用意ができました。

と言いに来たらしいロテアがドアを開けて入ってくるなりそう言った。

「そうだな、サンキュッ」

「もう寝るのかぁー?」

「もうって、十時だよ。それに明日、アタシの苺大福も買わなくちゃ行けないんだから、当たり前でしょ?」

「それもあったな」

「あったって、あんたねぇ!」

 

悪ぃ悪ぃ、そう言いながらロテアに続いて部屋を出て行く彼等をよそに、こたつの中で眠りこけているもう一人のハリネズミの子は、一気に三人抜けたこたつの空いたスペースに更に潜り込んだ。

「絶対に・・・・君を元に戻すから・・・・・優しい君に・・・」

うわ言のように呟いた言葉は、彼女がよく知ってるある人と同じような言い草だった。

 

『俺は、絶対に彼奴を助けなくてはいけないんだ。たとえ、自分が死んだのだとしてもだ。元の彼奴に。』

 

まさか、彼があの人の捜している・・・・・?

「まさかね。」

自分に言い聞かせるように呟き、彼に毛布をかけた。

 

 

 

第二十二章〜La loi d'une vie 〜

 

 〜Epilogue〜

 

 

「妊娠した。」

「え・・・・。」

 

数分前、家に帰ってみたら、誰も居なかった。

探しに行こうとしたら玄関のドアが開いて、彼女が居た。

その手には、三色の薔薇があって、彼女はそれを活け、月がよく見える窓辺に花瓶を置いた。その後俺に向かって歩いて来て・・・・

 

「妊娠したぁ!?」

「そんなに驚く事でもないであろう」

いつも通りの態度でため息をついた。

「お前はいつも五月蝿いんだよ、スペード。」

「べつにいいだろ、それが俺なんだからさ」

ふて腐れたように言う俺に、彼女は微笑んで、言葉を続けた。

 

「今朝具合が悪くてな、もしかしたら、と思って医者に行ってみた。検査したら、ビンゴだった。」

「生まれる予定は・・・・?」

「一応だが、四月の二十四日なんだそうだ。」

そういうと、彼女は自分の腹を撫でた。

「この子はきっと、これから色々と苦労する事が多いだろうな。私の血を引くから、魔力を持つかもしれない。もしかしたら、不思議な能力を持って来て生まれて来るかもしれない。異様な姿をした子が生まれて来るかもしれない。そのせいで虐められてしまうかもしれない。それでも私は、この子を育てたい」

お前はどう思う。そう言い俺を見つめて来た彼女は少し悲しげな笑みを浮かべた。

「おれも、そうおもう。俺は自分のガキがどんな奴でもかまわねぇんだ。」

元気に育ってくれればさ。そう笑う彼を私は、やっぱり好きだと思った。

 

「へぇ〜、こん中に俺達の子が居んのか。ようやく実感湧いて来たぜ。名前、何にしようか」

「それはまだ早いのではないか?」

「いいじゃんいいじゃん。何時決めたって良いだろ?」

気がついたら彼は隣に来てて、満月を見ていた。

「そうだな。早く決めても良いかもしれないな」

「あんた得意なの、天候魔術だったよな。好きな天気は。」

「雷だ。」

「そりゃまた怖いな。」

「むかし、ラヌメット山脈の近くにある月光の森でな。迷子になった事があったんだ。その時近くに落ちた雷に驚いて逃げていったらな。その先にアファレイド王宮があってさ。」

「それが雷が好きな理由かww」

「まぁな、私自身もよく分からないのだが、その時からか、雷を見るのが好きだったんだ。」

 

「決まった!名前はスパークでどうだ?」

もう決まったのか。とでも言いたそうに俺の方を見た彼女は、スパーク、と小さく呟いた。

「成る程、良いな、その名前。意味は・・・・閃光か」

「あぁ、あんたがさっき、虐められるかもしれないって言っていただろ。こいつは、そんな暗い中でも、明るく光っていられるように。って意味もこめたんだ。」

 

「でも、お前に似て無茶をしそうだな。」

そうかもな。でも、そう言うならあんたに似て、我が侭ばっかり言うかもな。」

「どっちにしたって私達の子供だ。もしかしたら半々に持っていたりしてな。」

「かもな」

そう言い合い、窓を閉めて夕食のしたくをして、いつも通りの夜が来て、寝た。

そんな夜空には大きな満月が輝いていた。

 

 

 

 

 

 

 

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あとがき

 

どうも、なまくらの俺、黒羽です。

気がついたら一ヶ月も更新してませんでした(笑)毎度来ていた方々すみません。

最近テストがあったりパソコンが壊れたりして、なかなか上手く小説が書けなかったんです

 

言い訳にしか聞こえませんね。

 

というかそろそろバレンタインですね。

 

 

※雑談はいります。

 

 

 

私は一昨年まで近所の幼なじみ(もちろん男)にあげてたんですが、この年ですし、勘違いされて騒がれるのが一番嫌いな奴なので、最近はもうあげてません。というか作る気もないです。

こんなに料理が下手くそな奴にもらっても食べてくれた彼等はすごく優しいです。

ってなわけで、今年も絶対に作らない。と決めています。

 

だって面倒くさいんだもんwwww

 

 

 

 

相変わらず汚い文章でしたが、ここまで見ていただきありがとうございました。

 

        H.25.2.8.Fry       影楼@黒羽

一人は言う、「戦いなど虚しいだけ』 一人は言う、「僕を一人にしないで』 一人は言う、「人それぞれで良いのだ』 一人は言う、「片方を守る者、もう片方を失う」 四人は言う、「この物語を作るのは自分たち自身なのだ。』と、 だから僕は守る、彼女に頼まれたあの子と、この世界の運命を・・・・・・・・