黒の国〜影の森〜

誰しもハッピーエンドな訳は無いのだから。バッドエンドはすぐ其処まで来ている。

スパークの過去〜小説〜 中間

第三章~The magician of memory~ 

 

 

 

 

ピンポーン

 

翌朝、誰かがここを尋ねて来た。

 

「こんにちわ、ルシア。」

女の人だ、どこかで見た事がある。

 

彼女は母を一瞥してから僕に目をやる。

「あらスパーク君、大きくなったわね!!久しぶり」

 

女性の方は僕の事を知っているようで、しきりに頭をなで回す。

「こんにちわ!!」

隣からサファリが飛び出して来た。

「あれ?貴方、いつの間にもう一人生んだの?」

「はふぇ?」

サファリはきょとんとして僕を見る

 

「違う、こいつはスパークの友達だ。」

母さんがそこに弁解を入れた。

 

「成る程、ところでスペード様は何方にいらっしゃりますか?」

「あいつは、エラトリン神殿にいる。」

 

「分かりました。では失礼します。』

そう言い、ソシアは消えた。

 

「時が動き出しているようだ。スパーク、サファリ、神殿の側には決して近寄るなよ・・・・・」

そう言って母は、夕食を作りにリビングの方に行った。

 

しばらくして

 

「ねぇねえ、神殿のそばに行ってみない?あなたのとこのお母さんがそんなに言うって事は、何かあるんだよ、きっと」

「えぇ!?」

サファリが僕に言って来た。

 

「大丈夫だよ、少しだけだもん。」

「でも・・・・・・」

「良いじゃん、楽しいよきっと」

「分かったよ・・・・」

そうして、強引に僕はサファリに言われて神殿まで行く事になった。

 

 

 

 

 

[我、世界を統ずる者、闇の過ちにより、爆ぜたこの世を真の姿にする者・・・・・・・光の戦士よ、我に奇跡を預けよ・・・・・・」

「まてっ!!」

 

邪魔者が入ったか・・・・・

 

「ここは神殿、その呪文を知っているとは 何者だ!!」

 

呪文を唱えていた者は振り向き、そして、フードを脱いだ・・・・・・

 

「!!あなた様は・・・・・ラネリウス様・・・・・・」

 

そう、そいつは港町、アファレイド十五代国王、『ラネリウス・ザ・ヘッジホッグ』だった。

 

おかしい、あの方は100年ほど前に紅月に殺されてしまったはずだ。

 

「こんにちは、スペード君」

王はゆっくりとこちらに向かって歩いて来る・・・・・・・

 

「っ・・・・・お前は、王ではない」

「何故そう思う、そんな事は守護者であるお前でも許されない言動だ」

 

「王は、100年前に死んだはずだ」

 

すると、王らしき者はフフッと笑った。

「さすがスペード、よく分かってるじゃない」

 

そう言うと、彼の姿はドロリと溶け、更に、形を形成し、一人の少女の姿へと変化した。

 

「アタシはライザ、紅月様復活の計画の指導者よ。それにしてもよく分かったわね、アタシがここに来ている事が」

 

「主導者自らがこの地に足を運ぶなんてな、ウォイスにも注意を呼びかけられていたが,こんなに早く来るなんてな」

 

「ふん、ウォイスか、先に手を回されてしまっていたか・・・・・」

ライザはスペードに目を向ける

「あんたの子、雑種なんだってね、可哀想に、いつもいじめられているそうね。」

「なんだよ」

「あんたが、あの王族の姫君と結ばれなければ、あの子の運命も変わっていたかもしれないのにねぇ・・・・・・・」

 

そう言い手を伸ばす。

 

「あの子の運命、アタシが変えてあげようか?アタシと契約しようよ、そうしたらあの子の運命を変えてあげる」

「・・・・」

「本当は嫌だったんでしょ?あの子が苦しんでいる姿を見るの」

スペードは不意をつかれたかのように目を伏せる。

 

「分かりやすい奴よね貴方も、いくつ年をとっても変わらないのよね、その素振り、可愛いんだけどねそれが。」

 

「・・・・あいつは、自分で運命を決める」

スペードは顔を伏せたまま言う。

「あら、貴方もそんな事言うのね。シャドウさんみたい」

「貴様、シャドウに何かしでかしたのかっ!!」

「別にぃ~、彼奴の力を奪っただけよ、お陰で紅月様を封印していた一つの人柱を壊せたけどね」

 

そう言い、彼女は片手を上げた。

 

「あと少しで封印が解けたのに、残念、貴方さえ来なければね」

そう言い上げていた手をスペードに向かって突出した。

「死んでもらおうかな、あんた私が正直に帰ってください。なんて言うはず無い事分かってるわよね?」

 

「もちろん、そんなのは知っているさ」

 

その瞬間、ライザの手の平から閃光が飛び出した。

 

 

 

 

第四章~The song of ruin ~

 

 

「ねぇ、やっぱ止めようよ」

僕はサファリと神殿の方に向かったんだけど、やっぱり止めといた方が良かったかもと、精一杯意見を主張する。

 

「まぁまぁ、そう言わずに、ね?」

あっさり無視された。

 

「あとどれくらいでつくの?」

「あと少し位。」

この森を抜ければすぐそこだ。

そんなとき・・・・・

 

チュドン・・・・・・・・

 

「!!」

「何の音!!」

「神殿から・・・・・・急がなくちゃ・・・・・・」

「あ、ちょっと!!」

思う前に走り出していた。

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・・はぁ・・・・・畜生・・・」

「そろそろ終わりにしよっか。」

撃抜かれた左手からは、絶えず血液が流れ出ていて、指を滑り落ち、手袋からしみてそのまま地面に滴り落ちる。

草原一面に広がる血液の量が、彼の傷を物語る。

 

「今度は外さないよ?」

不適な笑みを浮かべてライザは、閃光を放った。

その時・・・・・

 

「父さん!!」

スパークがスペードに体当たりして、ぎりぎりで躱した。

 

「スパーク!!母さんが来るなと言っただろう!!」

「ごめんなさい・・・・・」

 

「あれま、その子があんたの子供?ふーん意外と可愛い・・・・」

 

そんな事を言いながら、スパークに近づいて来る。

スパークは、父に覆い被さり、ライザを睨む。

「なぁに?その目、アタシに挑もうって言うの?馬鹿ねぇwwww」

 

「お前が、父さんに攻撃したのか・・・・」

「ええそうよ、だから何?文句ある?」

「大有りだ。父さんは何もしていない、お前を・・・・・・・」

そこまで言うと、スパークの目つきが変わった。

「バカっ!!止めろ!!力は使うな!!」

 

上空には雷雲が立ちこめ低いうなりをあげ、いつでも落とせるような状態のようだ。

 

「殺すっ!!」

瞬間彼は消え、真後ろに回り込み、彼女の首元を狙って蹴りをお見舞いする。

ぎりぎりで躱した彼女は少年の足をつかんで、引き寄せる

それを狙っていたかのように体中の毛を逆立て、彼女に電気を喰らわせた。

 

バチバチバチバチバチバチッ

「っくあっ!!」

 

 

 

「馬鹿者め」

痛む傷口を押さえながらスペードは呟いた。

スパークと、ライザの接戦が繰り広げられる中、ソシアが到着した。

「何なんですか、これは!!」

「紅月の復活を願う者と、スパークが、一騎討ちをしている。」

「スパーク君が!!早く助けなくては!!」

スペードは、それを片手で制止した。

「止めろ、もし入ってあんたが死んだらどうする。アポトスの町の大聖堂は?大勢の信者達は?カオスエメラルドを守る使命は?」

「・・・・・・・・・」

「彼奴なら大丈夫だ、なんせ彼奴は俺の子供で、それにソニックに選ばれた、選ばれし者なんだからな。」

 

ソシアは目を伏せ、一言呟いた。

「はい・・・・・・・」

 

 

 

 

 第五章~End - it feels sad. - ~

 

 

 

 

 

 

ガッ・・・・ザザッ・・・・・・・ガツン・・・・・

 

元々父に体術を教えてもらっていたお陰で難なく技を返せる。

スピードは、父さんの方が一枚上手だなこりゃ

 

「遅いぜ?」

つい思った事が口を滑った。

「何・・・・・・」

次の瞬間、体が宙に浮く感覚が分かった。

 

ドサッ・・・・・

 

「っく・・・・・」

彼女の片足が体に乗っかる。

「貴様の方が遅いのではないか。油断は大敵だ。」

「・・・・・・」

たったったったった・・・・・・

何処からか足音が聞こえて来た。

「ちょっとぉ!!離れなさーい!!」

「サ・・・・・ファリ・・・・・・・」

スパークは、少しだけ顔を上げる。

片手には絵筆を持っている。

 

「邪魔だ・・・・・」

彼女はサファリの、攻撃を意図も容易く跳ね返した。

サファリはそのまま宙を舞い、地上に落ちて、ぴくりとも動かなくなった。

 

「サ・・・・サファリ?うぐっ・・・・・」

「黙れ」

 

こんどは頭を強く押さえつけられ、サファリがよく見えなくなった。

 

「お前にも死んでもらはなければならない。貴様は将来我々の計画に、支障をきたすからな。」

 

そう言いライザは、スパークの方に手を挙げ、スパークに向けて叩き付けた・・・・・・・

 

その瞬間・・・・・・・

 

薄れる意識の中、スパークに向かって叫びながら手を差し伸べる少女の姿が目に焼き付いた・・・・・・

 

 

「バカ・・・・・・・・だめだって・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

後半へ続く

一人は言う、「戦いなど虚しいだけ』 一人は言う、「僕を一人にしないで』 一人は言う、「人それぞれで良いのだ』 一人は言う、「片方を守る者、もう片方を失う」 四人は言う、「この物語を作るのは自分たち自身なのだ。』と、 だから僕は守る、彼女に頼まれたあの子と、この世界の運命を・・・・・・・・