黒の国〜影の森〜

誰しもハッピーエンドな訳は無いのだから。バッドエンドはすぐ其処まで来ている。

長編オリソニ小説 〜永久の月光花〜No.9   2/1

  • これは、別のサイト「動くメモ帳」にて公開中の長編オリソニ漫画の小説版です!
  • 漫画とは少し表現が変わっていたり、会話文等が少し変更されている箇所もありますが、基本ストーリーは一緒です!
  • まだまだ漫画は始まったばかりなので、続きの話が出来次第二巻、三巻、と更新して行こうと思っております。
  •  尚、二巻から先は書き下ろしになりますので、pixivの方には出しておりませんのでご注意ください
  •  誤字、脱字等がございましたら言ってください。 

 

この小説を読む際のご注意


・この小説は、あくまで私のオリソニ、を中心としたオリジナル小説です。
・この小説と、ほかのサイトにうPした漫画をセットで読んでいただくと、また面白いと思います。
・この物語の舞台は、ソニック達がいた、100年後の世界です。
それをご了承の上でお読みください。OKな方のみどうぞ

 

 

 

 

 

 

第二十三章〜尽クセ、我ガ王ノタメニ〜

 

朝起きたらもうみんな居なかった。どうやらもう先にでてしまったようだった。

とりあえず起きて、その場で大きく伸びを一つした。そこはリビングルームで、昨日テレビを見ながらこたつでぐっすりと寝入ってしまったみたい。

大きな窓を開け放てば、朝の冷たく心地いい風が頬を霞めた。

 

窓を閉めて、キッチンへ行くと、あのメイド長が居た。

やっぱり彼等は先に出て行ったみたいだった。全く落ち着きがないなぁ彼等は・・・・。

メイド長がおにぎりを作るというので、それまでの間、僕は待つ事にした。

昨日、僕も寝る予定だった部屋には、なんと言うか、意味の無い書き置きがテーブルの上にちょこんとおいてあって

[先に行ってる。神殿の場所はお城の近くらしいぜ]

と、ギリギリ解読できる程度に汚い文字が描いてあった。全く、どうせなら寝てる所においてけば良いのに。

 

苦笑して、あの全面ガラス張りの窓を開け放って、テラスへでた。

『アファレイドで会おう』

エンジェルアイランドで聞いたあの声の人はそう言っていた。

「アファレイドで、か」

そう言えばミルフィーユさんもここはアファレイドの建築様式を使っているとか言ってたっけ

「いったい、僕とアファレイドに何のつながりがあるんだろ・・・・。」

 

「♪♫〜」

何の歌かも知らないこの歌を、ここで口ずさんでみる。記憶をなくして、途方に暮れていた時、この歌と、名前だけを覚えていた。

どこかで歌えばきっと、誰かが何かを教えてくれる気がして、行く町先でこの歌を歌ってみるけど、いつも空振りなんだ。

『我、汝の性(さが)を知るものなり、しかし我は言えぬ。忌まわしき過去の暗示により、汝に教えざる事できぬ』

 

「!!」

初めて反応があった。聴いた事がある声だが、先刻のあの人の声とは異なる声であった。

「誰・・・・?」

『我の名は無い。生きとし生けるものの中に常に宿るもの。我は王を捜す』

 

王?」

『我は王となる器を捜すものなり。お前は我を呼んだ。ウタヲウタウコト、それすなわち、自身を知るための欲。我を呼ぶ呪文なり』

 

「呪・・・・文?」

歌には言霊が宿る。その者の思いを伝える事も可能だ。でも何で、僕なんかに・・・・・?

『王家の血筋をもつもの、我が仕えるに等しきもの、お前はその血を持つ者我が仕えるにふさわしい』

 

ますます訳が分からない。最近、なんか変な事が多い気がする。

「どういう事?」

 

 

『つまり、ワレハ・・・ワレ・・・ハ』

 

そのとたん彼の声はぴたりとやんだ。

見回すと、後にあのメイド長が居た。

「そいつに深く干渉したらあかん。お待たせ、シャオンはん。朝飯にもっていきなはれ」

そう言われて、おにぎりを三つ、ラップにくるまれたものをもらった。

「ありがとうございます。でも何で、干渉しては行けないの?」

「せやな・・・なんて言うたらええんやろか・・・。」

彼女は少し考える様子だったが、すぐにこういった。

「あいつは、悪霊や、最近ここの当たりにも多くでて来てはる。少し前まではアポトスっちゅう宗教都市がありましてな、昔はこの辺りもお陰で悪霊は寄り付かんかったんや。」

契約してもうたら大変な事になるで。そう言って難しい顔をした。

 

「大変な事?」

「家族も友達も皆殺してしまうねん。無差別に、それで百年前にこの街、いや、世界中でぎょうさん人が亡くなりはったんですわ。」

「ふーん。」

「せや、もうこんな時間なんやし、そろそろ行かへんとまずいんちゃうか?スパークはん達はもうとっくの昔に出てはるし・・・」

「そうだった。おにぎりありがとう!」

「おおきに、気ぃつけてな」

「うん。」

玄関じゃないけど、そんな言葉を交わして階段を駆け下りた。

下の方では洗濯をしていたロテアが居て「じゃあね!」なんて、彼女の前では決して言えない言葉を交わして、来た時と同じ使用人玄関から出て行った。

 

同じ時刻に正面玄関から出てゆく人物が居た。

 

 

----------------------------------- 間 -------------------------------------------

 

 

 

 

「これで満足か?」

「もちろんよ」

少々ふて腐れた顔でスパークが聞けば、サファリは満足そうに答えた。

「なぁ、大丈夫なのか?シャオン置いて来ちまってよぉ」

隣から、また何か食べ物を両手で抱え込んだステアが尋ねる。

『知らねぇよもう」

あー眠い、眠気と苛立で、もう受け答えが投げ遣りになって来ている。

 

俺達が出たのは丁度三時間前、俺はシャオンが起きるまで待とうとサファリを止めたが、その制止も虚しく置き手紙を置いてこう!!の一言で終わってしまったのであった。

 

三時間の間、お目当ての苺大福のためにずっと並んで待っていた。

「で、並んで買った苺大福がたったの一個。俺らの分はねぇのかよ!?」

「だって、もうこれ最後だったのよ。まぁ、買えただけラッキーだよね」

「だったらそれに協力した俺らの分は!?」

「無い。」

「俺はいらね、甘いの嫌いだっけ」

ステアはいらないらしいが、俺はそうじゃない。

「くそ!!腹減った!!」

「あれ、スパーク、さっき朝ご飯ごちそうになったじゃん」

「俺、腹減らなくて、ほとんどステアにあげた」

『俺1・5人前食ったぜ!」

「それでまだ食うのね・・・・」

自信満々にステアは言った。一体こいつの胃袋はどうなってんだ。底なしかよ・・・・。

 

 

「いい加減にしろ、リネ。頼まれたもの、何も買ってないぞ。」

「良いじゃん、僕もう少し稼いでおきたいの!!」

「結局みんな使ってしまうだろう。その・・・・・・食費に」

「良いじゃないですかアシュラさん。ゆっくり行っても・・・」

「良くない!!頼まれたものはしっかりと買わなきゃいけない。」

「おじさん!もう一回!!」

「あ・・・・あぁ、はいよ」

「おいリネ!!」

 

背が割と低めな白いネズミの少女がお札を一枚渡すと、店主は『もういい加減にしてくれ」とでも言いたそうな顔でその札を受け取った。

それを呆れた顔で見つめる針鼠の少年。

もう一人の猫の少年は、何やら楽しげにその様子を見つめていた。

 

「ん。」

どうやら呆れ顔の彼が、俺達の様子に気づいたらしく、振り返って、苦笑した。

「ん?あいつらスパークの知り合いか?」

「ふぇ?」

下を向いていて気がつかなかったのだが、あれは紛れもなくアシュラ達だ。

声をかけてみたら彼奴は此方に来い、と目で合図をした。

 

「どうしたんだアシュラ、こんな所で。」

「どうもこうも無い、また連れが稼ぎ始めた。」

そう言って指差さした場所にはリネとその後の紙に『三十分以内に極太チャーシューメン(特盛り:一杯一キロ)を、一人で二杯完食できたら、一万円あげます+無料!!』の文字が

 

「見つけちまったのか」「うむ」

ちなみに、ただいまリネは五回目なのだとか・・・

 

「なぁなぁ、あの針鼠、機嫌悪そうだぞ?」

「それは元からなの、それに、あいつは針鼠じゃなくて、アンドロイド」

「そうなんか!?」

ステアはサファリにひっそりと質問したらしいそれに、アシュラは気がついたようだった。

「リネ、止めてくれないか、俺が頼むのもなんだが、スパーク空腹なんだよな」

「え、あぁ、まぁでも俺、ラーメンいっぱいで充分なんだけど」

「それで良い、ただ隣でラーメン一杯食うだけで。」

「ふーん、じゃあおっさん、ラーメン一杯ください。」

「あいよ」

 

かなり早く出て来たラーメンを、もう既に二杯目だろうと思われるリネの隣でさっき出て来た醤油ラーメンの完食にかかる。

 

「なぁあんた、何でただ隣でラーメン食うだけでいいんだ?」

「リネの胃袋に底は無い。俺が見た中ではな。小さなきっかけを作ればいいんだ。食うのを止めるための」

「それが、スパークのラーメン?」

「あぁ、リネは金と食に関して貪欲に、追い求める習性をもっている。つまり、集中を切らせれば良い、電車の中で曲を聴いていて、おしゃべりな、おばさん軍団に囲まれれば、曲に集中できなくなるだろう。それと同じような感じだ。」

「たとえがよく分かんないな」

「つまり、目には目で、歯では歯でだ。」

「?????」

ますます訳が分からなくなったらしいステアとサファリに、もう話すのは無駄だと思ったらしい。それっきりアシュラはラーメン店を見つめるだけだった。

 

そのまま数分間、ラーメンをすする音だけが盛大に響き渡っていた。

「ごちそうさま!!おっさん、代金は隣の子持ちで頼むぜ。」

「あ、はい・・・・・」

そう言ってスパークが、席を立つと同時に終了のベルが鳴った。

「ハイ嬢ちゃん残念、お金はもらうからね〜」

「なんで!!僕もう食べ終わる寸前だったのに!!良いじゃん少しくらいおまけしても!!」

「おまけできる程、もう金は残ってないんですよ!!あなたのお陰で。」

彼女の器に残っていた麺は本当に一口程度の量であった。

 

 

リネは渋々店主に自分と俺の分の代金を払い、席を立ったらすぐにアシュラの元へと駆け寄った。

「いくぞ。」

「ずるいぞアシュラ!卑怯な手を使って、こんなにご飯のいっぱいある所で僕にがまんさせようなんてさ。」

「お前は度が過ぎている。このままでは店主が可哀想だと思った。」

「この堅物!!良いじゃん!!」

「お前は 少々柔らかすぎる、もう少し周りを考えろ。」

そんな口喧嘩をしながら、二人は仲良く(?)手をつないで歩いてゆく。

最後に『世話になった。』なんて、俺に小さく呟いた。結局彼奴は最後まで無愛想だ。と思った。

 

「あ、ちょっと待ってください!そっちにお目当ての品は無いですよぉっ〜反対!!」

この街のマップをもっているらしい、もう一人の少年はマップを抱えて彼等の方へ駈けていった。

「スパーク、私達も神殿の方に行こう。もしかしたらシャオン、もうついてるかもしれないし・・・・・。」

「そうだな、じゃあさっさと行こうか。」

「おう!」

そして、三人はまた神殿へと歩いていった。昨日来た時と変わらずどの店も繁盛してるようで、この街は賑わいが絶えないらしい。

そんな中を歩いてゆくと前方から何やら大きなざわめきが聞こえて来た。

 

 

 

2/2へ続く

一人は言う、「戦いなど虚しいだけ』 一人は言う、「僕を一人にしないで』 一人は言う、「人それぞれで良いのだ』 一人は言う、「片方を守る者、もう片方を失う」 四人は言う、「この物語を作るのは自分たち自身なのだ。』と、 だから僕は守る、彼女に頼まれたあの子と、この世界の運命を・・・・・・・・