黒の国〜影の森〜

誰しもハッピーエンドな訳は無いのだから。バッドエンドはすぐ其処まで来ている。

長編オリソニ小説 〜永久の月光花〜No.9   2/2

第二十四章〜光と闇の狂喜〜

 

 

 

 

 

「なんだ。祭りか?」

「祭りかしら?そんな声じゃないと思うけど・・・・。」

「城の兵士がこっちに来る。」

「「え?」」

自分たちには全然見えないはずなのに、ステアは兵士だと言った。彼が兵士だと言った大群が近くに来て、やっと城の兵達だと分かった。

兵士達は、俺達の周りをぐるりと囲んだ。

そして、遅れて野次馬が蔓延る。(はびこ)

 

「何だ!?」

「我々ハ、オマエラヲ、サツジンヨウギデタイホスル。」

それは酷く冷たく、自分たちをあざ笑うかのように見ていた。それに、兵士の様子がどこかおかしかった。

「何だよそれっ!全く分かんねぇんだけど!!」

「分かんないですって?それは残念ですね。」

兵士達の中から、まるで氷のように、鋭く冷たい声が響いた。

やがて兵士達をかき分けて、一人の娘が出て来た。

「貴方達は重罪を犯した。この国の偉大なる王を殺すと言うね。私はミズカ・コオリ、最近この兵士達の全権をいただきましてよ?」

彼女は冷たい笑みで嘲笑う。

 

「あなた方の死罪はもう確定してますの、ご一緒に同行してくださいます?もちろん、城の地下牢までですけどね。」

彼女はわざとらしく首を傾げ、哀れなものを見るような目つきで俺達を見つめた。

「俺達は何もっ!!」

「さぁ、恐ろしい殺人犯を、さっさと捕らえてくださいまし!!」

彼女が兵士に言うと、兵士達は一斉に俺達に飛びかかった。・・・・正確には、飛びかかろうとした。

 

ボオッ

 

兵士達の前に、炎の渦が立ちはだかった。炎はめらめらと燃え上がり、一瞬にして火の手は収まった。そして、その前立ちはだかる人影が現れた。

「お前らはまたこんなとこで何してんだ。無実のものに罪を着せるなんてよ。」

「!!クロース様!!」

兵士達は、その彼を見て、一斉に敬意を表した。

 

「あらら、またですの。もういい加減お邪魔はよしてくださいと毎回言っておりますわよね?また来たのですの、北の大地の守護者十字(クロース)。」

「お前に言われたくない。紅月の幹部のくせにのこのこ人の陣地に入り込みやがって、ここはお前の庭か何かか?いい加減罪の無いものを殺すのはよせ、また悪霊達を誘いやがって」

「あーら、いけませんの、暇つぶしに遊んでは?彼等は喜んでおりましたけれど?」

「彼奴らが騒ぐと耳障りなんだ!とりあえず、此奴らは俺がもらっていく。」

「それはできませんよ。彼等は紅月様に頼まれた暗殺リストに載る者達。私かシャーナが手を打たなくちゃいけないのですわ。」

「なら俺がこいつらを全力で守る。」

「あら、それなら頑張って見なさいよ。この私から、全力で守りきって見なさい!!!!!」

出て来た時と同じ冷たい笑みのまま、彼女は短剣を持ち、彼に襲いかかった。

すぐさま一進一退の攻防戦が始まり、周りに居た野次馬共と、取り付かれた兵士達はその場から一目散に逃げて行った。残ったのはもちろん、話の中心になっていた俺達と、戦っているあの二人だけ。

「逃げてないで、さっさと攻撃して来なさいよぉ、焦らさないでもらえますぅ?」

きゃはははは、と笑いながら短剣を突きつけてくる彼女は、狂っていた。

(もとから狂っていたのだが)

ヒュンヒュンと耳元で冷たい凶器の音がするたび身震いした。後ろを向いて、彼らを避難させる隙も与えてはくれない。よそ見をすればすぐに殺されてしまうだろう。なんせ彼女は殺し屋だから

 

その昔、彼女はソニックを殺すという命を受け、彼を殺す使命を全うしようとした。しかし、それは突然にして断たれた。

ソニックの死、だ。

それにより、生きるすべを無くした彼女は、紅月の部下となり、彼奴の手足となって動く事となったのだ。

 

 

「っ!!」

「後は壁でしたねぇ、残念。死んでもらいますね。そして、カオスエメラルドをいただきます。」

そう言い彼女は、俺に向かって短剣を振りかざした。

そしてすぐさま、ドスッと嫌な音がした。

 

 

 

 

 

倒れたのは、娘の方だった。その真後ろに、いつの間にか標的となっていた少年がいて、ばつが悪そうに立っていた。

「俺も人殺しは好きじゃねぇ、仕方が無い時は使うけどさ。もちろん死んでないから、感電させて気絶させただけだから。」

大丈夫か?と言って手を伸ばされた。言葉に甘えてその手を借りた。

 

「気にすんな、久しぶりに降りて来たらまた騒ぎが起きていたからな。」

「また?どういう事?」

後の方に居た娘が尋ねる。

「とりあえず話は後だ。こいつが起き上がる前に行くぞ、神殿に」

とりあえずそこに居た三人を連れて、急いで神殿の方へと向かった。この時俺は、とにかく其処からはなれたかっただけだった気がする。後の方から、倒れていた娘の声が聞こえた。「逃がしはしませんよ。」かすれた声で呟いて笑っていた。そして、俺が怖かったのは、彼女が終始笑顔で徹していた事であった。

 

 

 

終章~奴隷トちからト哀シミト~

 

 

 

 

~壱~奴隷

 

 

昔々、ある大陸に、リラという小さな町があった。

その町に昔からすんでいる先住民族がいた。

一族の名は、『セヴァ』この一族後が流れる者は、生まれつき体が強く、武術などが使えた。そして、何よりもすごい事は、月に一回食事がとれればそれで二ヶ月程は生きれる事であった。

これに目をつけたのが、奴隷商人達だった。

 

彼等はリラの町の、セヴァの一族の血を引く女や子供を中心に捕まえ、人身売買した。売りはもちろん、食事代の少なさそして何より、武術が突飛して上手い事だ。

 

売られた者達は主に、力の弱い女や子供だった。女はセヴァの血を絶やさぬためのいわば、娼婦として、売られた事がほとんどだったのだそうだ。

子供は、養子の子も居れば、ただの奴隷として売られた子供達も居た。

 

その奴隷の問題は、つい最近まではほとんど知られてはいなかった。

 

そう、つい最近までは・・・

 

ほんの十八年程前の話だ。

ある日、二十代前半の若い娘が人身売買に出された。娘はこの時子持ちだった。娘は売られ、ある屋敷の主人の下として働いた。ある日、娘はお腹の子を産んだ。しかし死産だった。

娘は悲しんだが、主人は悲しむ事も無く、その死体を踏みつけてこう言った。「売れねぇ商品を作りやがって」そう言って、彼女に向けてつばを吐いた。

 

それから一年後、彼女と奴隷の男との間にまた子供ができた。今度は死ぬ事も無く生まれて来た。男の子だった。

男の子はすぐに、主人の息子の奴隷となった。男の子は痛めつけられ、息子へ服従するための指導をされた。二歳の時だった。

それから二年間、何事も無くすぎて行った。

男の子が四歳になったある日、屋敷に国の兵隊達が流れ込んできた。

 

もちろん理由は、この国で違反だった奴隷使用及び、『奴隷使用法』の改正だった。これにより、奴隷を乱雑に扱っていた富豪達は全て投獄された。

そして、屋敷に居た全ての奴隷達は一斉に開放された。

 

 

奴隷だった人々は、母国に帰るための船が待つ波止場まで、歩いて向かう途中で、皆殺された。もちろんあの娘とその子もいた。

娘は致命傷を負うも、幼い男の子を抱いてある宗教都へとたどり着いた。

其処の修道女にその子を預けるとその娘は力つきた。

 

最後にその子の名を呼んで。

 

 

 

それから二年経って、その街で事件が起きた。

男の子は助かった。森にいたから。男の子は決めた。

自分を育ててくれた人を、この街を壊し殺した犯人。そいつを自分の生涯をかけて捜し、この手で殺す。そう決めたと言う。

 

 

 

 

事件から十年、十六になった少年は今も尚、捜していると言う。

自分が奴隷だった証を両手足に付けて

 

 

 

 

 

 

~弐~ちから

 

ある街に、リグという一族がいた。

一族は何の変哲も無い由緒正しい猫一族だったが、周りから、軽蔑されていた。

ある年、おんなの子が生まれた。やはり何の変哲も無かった。

いわば普通。

ある年、その街で小さな紛争があった。リグという一族も皆、巻き込まれた。

そんな最中、当時二つだった女の子は、お絵描きが大好きだった。

何故か女の子は、描いた絵を実体化させる事ができる、不思議な力を持っていた。

家具に本、食べ物や電化製品、何でも実体化する事ができた。それを知っていたのは家族だけだった。何故なら、それが知れれば彼女の身に危険が訪れるかもしれないと思ったからである。

しかし、ひょんな事から女の子のその能力がバレてしまった。

紛争の原因はその女の子だった。

 

一族の長からは娘を殺す事が命じられた。

家族はもちろん両親が一番ショックだった。其処で話し合い、両親は別の大陸にわたり、其処にある施設に預けた。

女の子に『必ず迎えにくるからね』と、母親が涙ながらに言った。

もう会うことは無いから、会えなくなるから。何故なら二人は、死んでしまうから。

 

その後両親は、死んだらしい、死因は溺死。両親の遺体は、近場で量をしていた地引網漁の漁師のおじさんが引き上げたと言う。

 

女の子は十二年経った今でも、両親が迎えにくる事を信じて待っている。

当時、両親と別れた浜辺で、母の形見となった絵筆を持って。

 

 

彼女はまだ知らない。両親が死んだ事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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あとがきです。

ちょっと更新早くない!?とか言わんといてください。

最近ニート気味の俺っす。

 

ちょっとネタ詰め込みすぎたら神殿まではいかんなかった。なので、神殿についてのお話はまた次回。

今回は、アルミナこと、元りんりん様のオリソニ、クロース君と、元ゆヒャン様のコオリちゃんが新たに出てきました。

あれ、コオリちゃんって、前も出たような・・・((オイww

 

一応二人は敵対しているのですが、ある共通点があるため、ちょっと会話文だけの所を作ってみましたよ。

クロース君は守護者第三の守護者です。ソシアちゃんが一応第二なので。

どこの守護者か当ててみてよねっ!!((

一応ミルフィーユさんは第一ですね。

 

なんか最近、シリアスな気がするね、うん。

 

一応小説はパソコンでバックアップをとっておいてます。書体とか、色もパソコンのソフトを使ってあっちゃこっちゃいじくってwww

 

何で、汚いかもです。最近パソコンが重いが為に、誤字が多発してます。

変な所がありましたら、ご気軽にお申し付けください。

それではこの辺で。

一人は言う、「戦いなど虚しいだけ』 一人は言う、「僕を一人にしないで』 一人は言う、「人それぞれで良いのだ』 一人は言う、「片方を守る者、もう片方を失う」 四人は言う、「この物語を作るのは自分たち自身なのだ。』と、 だから僕は守る、彼女に頼まれたあの子と、この世界の運命を・・・・・・・・