黒の国〜影の森〜

誰しもハッピーエンドな訳は無いのだから。バッドエンドはすぐ其処まで来ている。

アイヲウタオウヨ1/2

 

 

・この話は、ある二人の話

 

 

・片方は王女、もう片方は放浪人

 

 

 

・二人は恋に落ち、そして、この王国から消えるまで

 

 

 

 

 

 

     アイヲウタオウヨ

 

 

 

 

『死んだって構わない、あんたが一緒ならば・・・・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第一章~潮風の花~

 

 ※エピローグ※

 

昔々ある所に、王女様がいました。

彼女は気高く美しく、この国の誰よりも美しかった。

魔術はこの国のどの女よりも上手。

この国の王族特有の天候を操る魔術を有していた。

 

だがしかし、彼女は退屈していた。

このように虚しく日々が過ぎて行く、人々はそれをうらやむだろうが、彼女は違う

 

 

 

「王族とは、つまらない。」

 

 

 

昔々ある所に、旅人がいました。

かれはこの世界を旅することが好きだった。

彼はそれと平行して、あるものを守る役目も負っていた。

いつか訪れる悲しみの悲劇を、食い止めるために

 

彼は言う、「いつか、自分にも、守るべきものが現れるのだろうか』

と、

 

そして今日、彼等は出会う、何の変哲も無い街の路地で・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「ふぇ~、しっかし広いぜ、『アファレイド王国』。」

 

此処はアファレイド、海の近くにあり、昔から漁業が盛んだったこの国は、百年前の王暗殺により、本当の王であるラネリウス王とその皇子シャオンが行方不明になりそこで王族の血は途絶えた。

 

表向きでは・・・・・・・・・だが・・・

 

しかし、王の家臣達が彼等の代わりに政治を行うことにより、この国が存在し続け、今に至る。

 

そして俺は、たまたま通りがかって来ただけの針鼠だったりする。

 

 

ここは、中心街レヴェリアル街、様々な商店が軒を連なっている。

 

 

 

「おい!!あちらに回られたぞ!!」

「ん?」

あれは・・・・・

「行けっ!!」「はっ!」

 

王宮の兵士達だ。

何を慌てているのだろうか・・・・・・

 

 

もうそろそろお目当ての場所へ着く頃だ・・・・・

 

そう、俺は今日、此処へきたのには意味があった。

「まさか、王様にお呼びがかかるなんてなぁ・・・・・・」

はぁ・・・・・・・・・・

気が重いぜ・・・・・・・

 

 

「っ、離せっ!!離すのだ!」

先ほどの兵士達が、俺より年下の娘(だと思う)を取り押さえていた。

「は~な~せ~!!」

バシュッ

いきなり閃光が奔った。

 

すると、その娘が兵士を突き飛ばし、こちらへ駈けて来た。

ドスッ

「すまない。」「いや・・・・」

その娘がぶつかって来た。

王国の兵士が言う。

「旅のもの、すまぬが彼女を捉えてくだされ!」

捕まえた方がいいのか?これって

 

「え・・あちょっ・・・まてよ!」

そのまま彼女の後を追う

あれ、さっきこの辺に・・・・・・

「わっ・・・・」

いきなり手を引かれてそのまま路地裏に引っ張り込まれた。

「何するんだ・・・・「静かにしてくれ」

 

「あちらから声が聞こえたぞ!!」

「探せ!!まだそんな遠くには行ってないはずだ!!」

真横を兵士が通り過ぎてゆく。

 

うへ・・・・・怖っ・・・・・・

 

「すまない・・・・・・お前まで巻き込んでしまったな。」

「はは・・・・いいよ、別に・・・・・」

(tkお前が巻き込んだんだっつーのww)

「少し、手伝ってはくれないか?」

「?」(何を・・・・・・・・)

「今週の末にある舞踏会に参加することになっている。それまでの間でいいのだ、匿まってはくれないか。」

「別にいいけd・・・!?舞踏会・・・・・ってことはあんた」

どこかのお偉い様のお宅のお嬢様だってことだよな・・・・・・

聞こうとしたら遮られた。

「とりあえず匿まってくれないか?」

は・・はぁ・・・・

有無を言わせないがんとした口調で、こちらを見つめる。

瞳は、アファレイド王国に多いマリンブルーの瞳だ。

最近は混合種(瞳の色が違う者同士)でも結婚できることが法律で認められたせいか最近はこの色の瞳を持つ家が減って来ていると聞いているが・・・・・・

「久しぶりにこんなに綺麗な瞳を見た。」

この国の海をそのまま映し出したような・・・・・・そんな瞳をしている。

「///?!」

 

どうしたのだろうか、彼女はいきなり顔を赤めらせてそっぽを向いた。

「大丈夫か?」

風邪か・・・・?

「何も無い・・・・・久しぶりにそんな事を言われた。」

私に会いに来る者達は皆、ごまをすっていたから

彼女はぼそりと呟く

「・・・・とりあえず、宿にでも行かないか?此処じゃすぐに見つかるしよ」

「そうだな・・・・・」

固く手を握り合い、俺達はひとまず宿へ向かった。

詳しくはそこへ行ってから聞こう・・・・。

 

第二章~波止場の宿~

 

 

 

金目当ての結婚などするものではない・・・・・・・

 

ほんの五つか六つの時に母上から言われた。

母上はもうすでに他界している。その言葉はまだ幼かった私には理解し難い言葉だった。でも、今なら分かる。母上は、幸せでは無かったのだろう。

 

すばらしく暇な宮殿暮らしに飽き、数時間前に塀を乗り越えて逃げ出した。

 

私はいま、ある方と海辺の宿に居る。

彼は私の瞳の色を素敵だと言ってくださった。彼は、琥珀色の綺麗な瞳だった。

私は彼に誘われるようにこの宿に着き、現在に至る。

 

空には綺麗な月が浮かぶ、最上階の客室だ。

「高いだろう。」私が聞いたら、見つかった時にすぐに行けるように・・・・だとか

彼も久しぶりにこんな大騒動に巻き込まれたのだとか

 

 

 

 

 

 

「なぁ、あんたはどこのお嬢さんなんだ?王宮の方から来たということは、遠方の国の方のお家柄か?」

自分の向かい側に座った彼は、私をジッと見つめ、話しかけて来た。

月光に照らされ、彼の瞳が、揺らぐ。下手したら、昼間見た瞳よりも綺麗かもしれない・・・・・

「私は・・・・・・・・王宮の者だ。」「!?」

彼は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに聞き返して来た。

「まぁ、何となく分かりはしていたけどな。身成からして、昼間からその格好で動いてるお嬢様なんて居る分けないし、第一逃げずに王宮の中を見学するよな、兵士を吹っ飛ばしたときもあれは王家に伝わる魔法を使っただろ?それでいて、その純粋無垢な瞳、この国にある海を映しだしたかのようなその色には、何も混ざっていない。」

「・・・・・・。何故、そんなに私のことが・・・・」

「俺は瞳を見るとだいたい分かっちゃうんだよ。その人がどんなところで生まれ育ったか、とか・・・・」

彼はへらへらと笑いながら、言う。

「まぁ、こんな所をあんたの父(王様)に見られでもしたら大変だけどな。」

姫さんにタメ口なんて、打ち首だ。

私もそう思う。

 

「まぁ、今日は本当は王様に御呼ばれされてたんだが、きっとその舞踏会に参加しろってことだよな」

「父上に・・・・か、実は、その場で私の婚約者が発表されるのだ。」

「!?」

「私はその男が金目当ての結婚であるのを知っていた。私はそれが嫌で仕方が無かった。だから逃げ出した。」

彼はしばし唖然とし、もう一度私を見つめ直した。

 

「当日、誰か来るか・・・?来賓は」

「ウォイス殿くらいしか知らないが・・・・・それを聞いてどうする」

「まぁ、ちょっとな、そんくらいで充分だ。ウォイス・・か」

 

その後、彼と色々と話した。初めて合うのに、どこか懐かしい感じがした。

 

「まぁ、まとめると、その婚約者発表、が嫌だって事だよな」

「婚約者が・・・だ」

 

「あんたはとりあえず、王宮へ戻れ、今週の末にある舞踏会に俺も行く、あと、あんたの部屋と、会場となる大広間の場所を教えてくれ、ちょいとそこに細工をしとく」

「・・・・・・・わかった。」

 

私は、彼に場所と間取り、名前等を教え、一旦眠りについた。

私は何となく勘づいた。彼は私を連れて逃げようとしてるということに

 

 

 

第三話~ノイズ~

 

 

 

「ル~シ~ア~、父は心配したのだぞ、全くそちらは何をしておったのだ。」

「す・・・すみません!」

兵士達に罵声を浴びせ、駆け寄って来た父は、私を見るなりだきついた。

とんだ親バカだ。

「大丈夫だ、私は此処にいる」

「おぉルシア、怪我は無いのか?」

「大丈夫ですよ王様、俺がずっと彼女の側に居たんだし」

隣では呼ばれて来たという彼が、相変わらず笑いながら王に話しかける

結局一人で、は危ないので彼が連れて来た、ということで話がまとまり、今現在父の部屋に居る。

 

「其方は今更来て何を申すのか、呼んだのは昨日のはずだぞ」

「いやぁ~昨日ちょっとしたトラブルがあってさ、ついたのが夜中になっちまったんだ。で、路上に倒れていたお姫様を保護してというわけですよ」

 

彼は王様相手でもタメ口なのか・・・・

 

「まぁ良い、其方には今夜ある舞踏会に参加してもらおうと思っておる。お前もその年だ。そろそろ娘がいるだろう?」

「は・・・・はぁ・・・・」

要は俺のお見合い的な感じも含めてんのか・・・・

「父上、私は彼にお礼がしたいので、私直々に王宮内を案内したいのだがよろしいでしょうか」

此処で私がそう言い、了承を取った所で、彼と共に部屋に細工をする・・・はずだったのだが

 

「いや、其方はだめだ。相手の方が待っておられるさぁ、さっさと行って来るが良い」「ですが・・・・!」

「今回ばかりはどうしてもだめだ。さぁ、行くのだ」

「・・・・」

仕方なしに私は父上の言うことに従うことにした。

 

 

「お前か?ルシアという王女は」

廊下にでたとたんに声をかけられた。

「私、だが・・・・・」

「俺はウォイスと言う、率直に聞くが、お前は彼のことをどう思っている。」

彼、と聞かれてすぐに分かった。

「今、父の所にいる、針鼠の・・・・・か?」

「そうだ、スペードのことだ。お前は彼のことが、好きなのか」

 

彼はスペードというのか・・・・・・私は彼から名を聞いていなかった。

「!?いきなり何を申すのですか。ウォイス殿!」

不本意ながら、顔を赤く染めてしまった。

 

 

「まぁいい、時がくれば分かるだろうからな。・・・・・・・そろそろスペードが王室からでて来るだろう。あの隣の部屋の客人達にはお前の幻を見せている。彼奴と部屋を回るのだろう、さっさと廻って来い」

 

そしたら、部屋のドアが開き、彼がでて来た。

「おっウォイス、さんきゅっ!」「いや、此れ位なら俺の手伝いなしでもお前にもできるだろ?」

「残念ながら、俺は魔力を持たないのでねwww」

「ふん、戯けが。まぁ、俺もこの結婚には反対の身だからな、また何かあったら遠慮なく言えよ、」

「元から遠慮なんかしてねぇよ、永遠の魔導士さん」

「その減らず口、全く変わらないな」「あんたもな」

 

「そろそろ行こうか、早くせねば兵士達が戻って来る。」

「はいよ、じゃあ案内よろしくな」

私は彼の手を引き私の部屋へと歩いて行った。

 

 

 

一人は言う、「戦いなど虚しいだけ』 一人は言う、「僕を一人にしないで』 一人は言う、「人それぞれで良いのだ』 一人は言う、「片方を守る者、もう片方を失う」 四人は言う、「この物語を作るのは自分たち自身なのだ。』と、 だから僕は守る、彼女に頼まれたあの子と、この世界の運命を・・・・・・・・