A good dream
※注意※
これは私が猫の日にちなんで作ったお話で、本編とはいっさい関わりがありません。
なので、注意してください。
オリジナルです。
あと、かなりシリアスですので、苦手な方は気をつけてください。
あ、一応死ねた(笑)リアルの実話を元にしてます
これをふまえてよろしい方はどうぞ
二月二十二日、世間では猫の日と言うらしいのだが、俺らの主である黒さん(黒羽)は気にしているような素振りは見せていなかった。
また今日もいつものようにゆったりとした一日が過ぎて行くものだと、猫族以外の誰もがそう思っていた。
「あーあ」
まさか、こんな事になるとは思っても見なかった。
「どうしたのよスパーク、そんな顔しちゃって、なんかあったの?」
「別に、あんたらがテレビ独占して、マタタビ酒飲んで、やっかみうけただけだけど!?」
「なぁんでそんな怒るのよ」
俺はブスっとして答える。
サファリはお酒は飲んでいないものの、この部屋に充満しているマタタビの香りで、ぼーっとしているのか軽く舌が廻ってないようだった。
俺達は、猫族以外の全員、正直迷惑していた。
「猫の日だかなんだか知らんけど、ネズミの族を見ろよ。絡まれて逃げ回ってるぜ。」
外を見れば、リネが、へべれけの雄猫供に追っかけられていた。
普段追いかけて来ない気が優しい彼等も、理性を失って、本能のまま、鼠の族の彼女を追い回している。
「全く、黒のヤローは何でいきなり猫の日だから今日は猫優先だ。なんて言うんだよ」
俺は、大きな窓があるカウンターに座って、いつもどおりムスッとしているであろう黒を一瞥した。
「またいつもの気分だ。じゃ無いの?」
「そんな感じじゃあ無かった。彼奴にしちゃあ珍しく、何か考えてるっぽかった。」
「ふーん、というかいつもあんた以上に考えてると思うよ。あんたが考えている方がよっぽど珍しい。」
「失礼だな。」
「元からよ」そう言って、そのまま食事の支度をしていたレイラに呼ばれて、キッチンに向かっていった。
その時、おもむろに、玄関のドアが開いて誰かが入ってきた。
一瞬その場が静まったが、また元に戻った。入室してきたのは一人(?)の女性の赤猫だった。深緑の瞳だ。
彼女は腰より低い位置で毛を束ねていて、歩くたびにゆらゆらと揺れた。彼女は俺の側を通り越して、カウンターで紅茶のストレートを飲んでる黒の隣に座った。
何を話しているかは分からないが、割と明るい話のようだ。
彼女は頷いて、レイラに飲み物を頼んだようだ。
「どうした、スパーク。浮かない顔してよ。この酒うめえんだ。一緒に飲まないか?」
「あー悪ぃおっさん、未成年は飲酒禁止だろ。それに、それマタタビ酒だぜ?」
「おっさんじゃねぇし、アゼルだ。いいだろ?こういう日くらい飲まねぇとよぉ〜」
あぁ、また絡まれた。おっさんというのはアゼルの別名で、自分たちの中で二番目に年が上だから。というのが理由なのだそうな。
ちなみに一番のウィルは、おっさんとは呼ばれていない。
俺の耳元でちゃぽちゃぽと、もう半分は切ったであろうマタタビ酒の瓶を振って、酒の席へ誘うが、俺は綺麗に断る。
「なあおっさん、あの人誰なんだ?黒の隣の・・・・。」
代わりにおっさんに聞くと、おっさんは少し考えてこういった。
「チコだな。」
「?誰だ?」
「あんたなんかが知るはず無いさ、あんたがこのうちに来る前にいた奴でよ、自分を見つめ直すとかいって旅に出た変わり者。何で今頃戻って来てんだ・・・・・。」
チコと呼ばれた彼女は楽しそうに黒とお喋りしている。
「ありがとな。」
そう言って、おっさんを酒の席へと無理矢理押し返して、俺はしばらくチコとやらを見張る事にした。
朝から機嫌が悪い。寝起きにマタタビの香りを嗅がされて、上へ来てみればマタタビの香りで充満していた。
それによった猫達に噛まれるわ襲われるわで、非常に寝起きの悪い朝となった。
黒に訳を尋ねれば、「気分だ。」と一区切りで、この一言には何とも言えぬ威圧感があった。それからずっと俺はムスッといて、通りがかったアンズに「あんた、主みたい」なんてからかわれたりした。
「はぁ・・・・・。」
今日何度目かのため息をつく、周りの奴らは気に求めず、飲めや喰えやのどんちゃん騒ぎだ。ふざけんな。
ふと顔を上げると、一人の見慣れない三毛猫がはんかちを落としてそのまま外へ出て行った。
「あ、おい。」
声をかけたが気がつかなかったようで、そのまま外へ行ってしまった。
俺は仕方なしにその落としたハンカチを拾って、その娘の後を追いかけた。
いくら声を掛けても気がつかなかったから肩を軽く叩いた。
そしたらその娘はビクンっと肩をすくめ、ゆっくりとこっちを振り返った。
「落としたぜ。」
そう言ってハンカチを見せたら笑って、礼をした。
その娘の片耳が無い事に気がついたのは、家に入ってからだった。入る時にすれ違ったチコという女性に、すまない。と声をかけられたのは気のせいだろうと思った。
「スパーク、来い。」
片言のように発せられた単語は、明らかに俺を呼んでいた。声の主は黒だった。
カウンターの席の隣に座らされて、ただの水が出された。俺はあまりジュースとかが好きじゃなかったから、レイラの判断であろう。
「ありがとな。」
「はい?」
「ミケは耳が聞こえないんだ。」
その一言で、さっきのハンカチの落とし主だという事が分かった。そのまま黒が続ける。
「あいつは右耳が末期のがんでな、手遅れだった。医者に右耳の切除しか選択の余地がないと言われた。手術によって、一命は取り留めたが、聴力は回復しなかった。
ミケは、チコのたった一人の娘でな。彼奴は大切にしてたんだ。でもその年の夏に、
交通事故で死んだ。」
「え?」
今聴いた単語は嘘のようだった。
死んだって、彼女は現に生きている。なのに何で死んでいる。なんて言うんだ!?
「ミケの死体は、キウイの木の下にうめた。そのあとチコは旅に出た。自分を見つめ直すとかいって。」
「でも、あの子は・・・・「生ている。でもそれは俺の手によってだ。あの体は幻。実態ではあるが、時がくれば消えてしまう。ミケは俺が描き出した。チコのために」
外を見れば、あの二人が笑会いながら木の下でほんを読んでいる。
「猫の日なら、皆に混じって、彼女をミケに会わせる事ができると思った。毎年、お盆の日に作り出していたんだ。魂が帰って来る日だからな。彼女はその日に限って約束をすっぽかしたりしていた。だから特に何も無い今日にした。もう一度言うが、ミケは俺が作り出した。きっかり二十四時間で消え去ってしまう。それ以上は、魂が偽の体では持たないんだ。」
「・・・・・・。つまり、彼奴はもうこの世にはいない。だから、長くここに存在しちゃいけないものなのか」
「さすがだ。物分かりが早い。」
そう言い、紅茶を飲み干し立ち上がった。
外では、二人が抱き合っている。そろそろお別れなのだろうか。
行っている間に、みけの体が透けてきてそのまま消えた。最後、空を掻くようにして消えてゆくミケを抱いたチコは、そのまま座り込んだ。
しばらくして、彼女は立ち上がり、黒の方へ向いて、礼を一つ。そして自分はそのまま街の方へと走って行った。
そしてそれが終わりの合図のように、黒が叫んで、そのまま猫の大パーティーは幕を閉じた。
A good dream (良い夢を)
我が家には二匹の猫がいます。
一匹は赤猫で、チコと言います。もう一匹は三毛猫で、ミケと言います。
これは、実話を元にしたお話なんですね。この物語の通り、ミケは二年程前に、事故で死にました。今もお母さんのチコは生きてます。今年で二十二歳と言うから、もうそろそろしっぽが二股に分かれても良い頃だと思ってます。
ちょっと期待してる私。
猫の日で、うちのミケを思い出したがために、こんな物を書いてしまいました。私も密かに、一日で良いから戻って来てくれないかなぁ、なんて思ってます。
チコさんは小説の通り、無口な感じで、大人っぽい感じです。
ミケは、すごく人懐っこくて、いつも構ってくれ、構ってくれ、五月蝿かったです。でも、それがすごく幸せだったな、と思います。今となっては
はい。
後で、二匹をイメージしたイラストも乗っけようと思ってます。では。