黒の国〜影の森〜

誰しもハッピーエンドな訳は無いのだから。バッドエンドはすぐ其処まで来ている。

はじめに

Welcome!

ここは黒羽が経営する小説サイトです。

稀にイラスト・コミック版を投稿するかもです。

と言っても小説関連のですが(汗)

 

 

 

       〜更新情報〜

7/21 「オリソニ過去小説」にLibrary social withdrawal 追加

 

6/12 小話に「宮廷魔導士の手記 その1」追加!

 

6/3  十三話現在で「オリソニプロフィール」一斉更新しました!!この子足りない。何か違うよ!などの訂正等ございましたら日記の方にお知らせください!!

     ※ちなみにアッシュ君は入っておりません。

 

5/16 「永久の月光花No,13」追加!!

 

5/10 「永久の月光花NO.12」追加!!

 

5/5  「図書館」過去小説に追加!!

 

3/23 「永久の月光花NO.10」追加!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日記もしております。

はてなブログの方に移転しました。

「こまこま。」

http://utakatanouta-1401.hatenablog.com

暇であればこちらの方も見ていってください(笑)

一応毎日更新です。 

 

 

基本小説類

・オリソニ漫画「紅月ノ月光花」派生小説「永久の月光花」ある意味原作

・影の森限定「暗黒の騎士二次創作小説」

・その他小説

・稀にソニック

です。

 

・二次創作等が嫌いな方は、ブラウザバックでお戻りください。

 

全て私オリジナルです。

本家様とは関連性は無いです。

 

 

「永久の月光花」の過去編「幻想の紅月」はporu様が過去のお話を書いてくださっています。

サイト↓「suzu0123's blog

  http://suzu0123.hatenablog.com

「幻想の紅月」第一話はコチラから↓

http://suzu0123.hatenablog.com/entry/2012/06/11/163248

 自分的にこの曲がストーリーに合っていると個人的に思ってます。

 

 

 

 ああ、なんて時代だ。

祈り続ける理由なんてもう分かってしまった僕だ。

理論越しに叩き付けて ぶちこわして粗末ですと 失う事キミと歌を

 繰り返して 誰ノ為ニ?

 

 

読みたいものなどは綺麗に分けてありますので、カテゴリーの方から、選ばれると便利だと思います。

             by影楼@黒羽

Lost memories

暗かった。とても暗くて、僕はその中で立ちすくんでいた。

あの人たちはどうなったのか僕にはわからない、今のこの状況すら僕には飲み込めないままで。

確かあの時僕はあの人に……

 

『貴様に時間を与えよう。』

 

得体の知れない何かがぬるりと僕を掠めた。

嗚呼、この感覚は嫌いだ。僕が僕を奪っていく。すべての感覚がその生暖かい何かにまとわりつかれる。視界さえも奪って

 

『6時間の猶予をあげるよ』

 

目がさめると暗くて暖かい布団だった。光が見えた。ヒトの温かさが感じられるようなそんな光。

布団をたたむと部屋にあった大きな鏡の前に立った。自分は見覚えのない真っ黒な服を着ていた。

「趣味じゃないな…」

僕はクローゼットから僕のものと思われる服を引っ張り出した。暗い部屋にくるまで着ていたあの白いローブ。これは僕の特注品だった。どうしてこんなものがここにあるのか、今まで僕は何をしていたのか、そもそも僕の師匠や友人はどうなったのか。僕はローブを羽織って外に出た。

 

「おはようございます。紅月様」

「え」

開けた瞬間出迎えたのは、僕が着ていた服と同じ黒い服を纏った奴らだった。その中で一番に挨拶した女は、僕の服を見た瞬間驚いた。

「紅月様!その服は…」

そのあとも続けようとしたが、食事の支度はできております。と言い奥の方へ消えていった。その後ろにいた人たちも女の後を追って静かに消えていった。

僕はその場に立ちすくんだ。

「あ…かつき?」

 

この僕が?まってまって、僕が考えてた推理じゃそれは師匠じゃなかったのか?だって最後に見たあの人だってそう言って…でも、さっきの女は確かに言った。

「…………前提が間違っていた?」

そうか、そうだったんだよ。僕は僕に騙されていたんだ。僕は今や王を殺した大罪人なんだ。

僕はアイツに本なんか託してる暇なんてなかったんだ。あれは、あの記憶は…

あれ

 

あれれれれ

僕は混乱した。考えていたことと置かれている立場、全てが僕の記憶と相違していたからだ。

こうしてはいられない、早く外に出ないと。

 

僕は食事もそこそこに外へ出る支度をする。

 

 

「どこかへ行かれるのですか?」

あの女が僕にコートを渡す

「ちょっと母国を回ってくるよ。奇襲は待ってくれ」

そう言って僕は、立場をわきまえて変装した。

消息不明のあの方に。

「お気をつけて」

その声と同時に僕は、見慣れた街に降り立った。

 

「懐かしい…」思わず声に出してそう言った。そういえば少し景観が変わった気がする。一体今はいつなのだろうか。

『号外ですよ~!いかがです~!』

新聞社の人が新聞を配っている。せっかくだから一つもらうことにした。

 

{青乱22年 ×× ×× アファレイド王暗殺事件より本日でちょうど5年になる。王宮は周辺国との協定を結ぶことにより大罪人の捜索に力を入れてきたが、犯人は未だ見つかっていない。これについて王宮は『犯人の裏には大きな組織が絡んでいるのではないかと考えて入るが、未だその尻尾すらつかめていない。国民に申し訳が立たない』とコメントしている。王子は戴冠式の前日に、何者かの奇襲受け、魔導師ウォイス氏が襲撃犯と戦闘になるも取り逃がす。その後、ウォイス氏と王子は跡形もなく消えてしまった。 今は代理で国務大臣であるハルチア=レクイエム氏が政治を行っている。王国が崩れるのではないかと噂が流れる昨今、王宮はこの事件について一層力を入れて取り組まねば、いずれ噂も現実のものとなるだろう}

 

「五年?」

僕は記事の内容よりも今日。つまり発行日が僕の覚えてる日付よりも先へ進んでいたことに驚いた。僕の体感では数時間ほどだった黒い部屋は実は時の流れが違うのかもしれない。その間にこの国の情勢がどうなったのかはなんとなく把握できた。急な王の交代で、一次的に乱れたのであろう国は、路地裏で寝ている国民たちが物語っていた。

そして師匠が王子を連れ去り消え去ったこと、そこまでは覚えている。襲撃犯は、この僕だ。王子を僕が引き取り、逃げるつもりだったんだ。明け方に部屋の天窓を破り侵入したが、最終的には襲撃に失敗して森に逃げ込んだ。

 

「あいつ、まだあそこにいるかな」

あいつとは、解読を任せた友人のことである。もはや信じきれない自身の記憶を頼りにとりあえずは約束の場所へ行くことにした。

 

 

あと2時間

 

 

 

 

「君はいつもここにいるね」

「いたら悪いことでもあるのか」

「ううん、そんなことないと思うよ。ここ、お父さんも好きだったところだから」

そう言うとあいつは俺の隣に来てフードを外した。冷たい海風に吹かれてわさわさとくせ毛がなびく。その容姿が、悲しいくらいに似ていて俺は目を逸らした。

「久々に帰ってきたからこっそり抜け出してきたんだ。」

「今日もこない」

「なに?」

あいつは俺のほうをじっと見た。

お前に言えるわけがなかった。俺は俺で行動しなければいけない。

「流星、だ」

「それは夜にならないと流れないよ……あ」

あいつはそう言うと、何かを感じたのか下の方をじっと見つめた。

 

「綺麗な目だね」

そういって微笑むと帰って行った。俺もその方向を見たが、皆同じ色であいつが誰を刺して行ったのか、まるでわからなかった。

 

****

 

あの場所に行った。正確には行こうとした。

僕はあの神社の真下にいる。上にはキミがいた…。静かに鳥居の上に座ってじっとその場を動かない。思い出すな..あの時のこと。

「待っててくれたんだ…」

僕は階段を登る。ゆっくり…今すぐに君の元へ行きたかった。一体どんな話を聞かせてくれるんだい。僕が消えてから君はどうしていたのかな。もしかしてずっと読めなくて文字を教えて欲しいとか思ってるのかもしれないな。そんな感情で魔法で一気に登りたくなるのを堪え、ゆっくりと登った。魔法を使えば気配でばれてしまうから。

 

 

『もう時間だよ』

突然僕の前に、僕が立ちはだかった。こいつが僕をずっと閉じ込めてた張本人。

『そんな怖い顔をしないの。さぁ今度こそ、永遠にお別れだよ。君の知識、心、記憶全てをクダサイ』

「い、いやだ」

僕は登ってきた階段をゆっくりと降りる。あいつに背後を取られたら終わる。『チョウダイ』

あいつの目は赤くて、僕を全て取り込んでしまう。

『ネェチョウダイ」

僕はあいつに吸い込まれていく。あの時と同じ光景だ。あいつを残して僕は、僕は……

「ねぇ!!.......」

君が振り向いた。であった頃のように怯えた表情はもうどこにも残ってない。僕は、君とのことを覚えてないんだ。

君の名前はなんだっけ…

 

記憶がフラッシュアウトする直前、君は僕に向かって何かを叫んだ気がした。

 

 

 

~5年前~

 

 

「くそっ!俺が行く!お前は逃げろ!」

満身創痍だった。僕の大切な親友は、ただ一人の僕の味方だった。傷だらけの僕と、傷などどこにも見当たらない君。君がそんなに一生懸命になるなんて思いもしなかった。だからこそ僕は……

 

 僕は王子奪還に失敗し、かつての師匠と戦闘になった。乱闘の末、古めかしい落とし穴で、ようやく振り切って逃げ出したのに

 

僕は気づけなかった。もう一人、刺客がいたことに

 

「いいよ、君が逃げるべきだ!狙いは僕なんだ。君が命を落とすことなんてない!」

僕は親友の袖をつかんで物陰に引き戻した。

 

『抵抗は無駄だ。出てこい』

ヒトならざる嫌な声が聞こえる。無視しなくちゃ

 

もし君を僕が守れるなら、どんな手が使えるだろうか、師匠を散々いたずらで困らせた。その手の魔法はたくさん覚えているが、実用性は皆無だった。

 

「俺は、お前を失いたくない」

「わかってる。僕だって君を守りたい..」

考え方が違いすぎた。君は僕のために命を捨てたいと願う。僕はできるなら君とともに逃げたいと願う。

これはきっと、それまで僕らが過ごしてきた世界の違いだ。

でもどちらの願いも叶うなら

 

「僕は君を守りたい。未来永劫に、もう二度と君が苦しまないように、全てを失わないように」

君はわからなかった。聞き慣れない単語を淡々と喋る僕が、何についてそう述べているのか。

「でも、君がいないのは耐えられない、耐えられないんだ。」

ただ無知で、見た目とは裏腹に純粋で、単純な考えしか持たない君が…僕の一番守りたいものだった。

「俺は、あんたを置いて逃げたらきっと悔やむ。悔やんでも悔やんでも悔やみきれないほどに…。だから俺は、たった一人の友達をみすみす見殺しにはしたくない」

普段はあんなに落ち着いてるのに、君は語気を荒げた。

君は泣いていたのかな。僕も目の前がゆがんで何も見えなかった。

「全てを失ってもいい、記憶も立場も、お前すら覚えていなくても構わない。だから…」

君が言いかけた言葉を僕は止めた。

「僕も君と同じことを考えていたよ。……それを聞いて安心した。」

 

僕は(俺は)君を(お前を)を守りたい。

 

 

僕らは糸になる。永遠に解けることのない糸に。

僕は君の手を取って、契約を交わした。

これで僕らは全てを失う。

それが僕らの代償。

この契りは永遠に生き続ける。僕らの血肉となり、記憶となる。

 

 

僕は僕らの最高の願いを、最低な形で叶えることとなった。

 

堕チルトキハ イツデモ イッショダヨ

 

 

刺客の前に飛び出したのは、僕だった。

 

 

********

 

「!!」

目がさめるとベッドの上だった。あいつらを追い出した後の記憶が曖昧だが、どうやらベッドに入って寝ていたようだ。

それにしてもあの夢はなんだったのだろうか

頭の中がもやもやしている。まだ調子が上がらないのかもしれない。

俺はもうひと眠りすることにした。

すでに糸は解れ始めていた。

 

オリソニ小説〜永久の月光花No.16

××××××××××××××××

 

「あれぇ?」

「来たか….」

「なんだスペードちゃんじゃないの~?残念」

待ち合わせていた女はそう言って隣に座った。

「アイツは」

「そんなほいほい現れてたら困るわ…」

そう言って女は茶化すように笑った

「で?ご用事はなぁに?まさか、せっかくココまで来てさしあげたのに『アイツに話す』なんて言わないわよねぇ?」

「….」

「あ、まさかホントだった?ちょっと、冗談はやめてよ。あの人は手ぶらじゃ満足しないわ」

 

そう言ってけらけら笑う。こいつはオンとオフの差が激しいと思った。

俺は深いため息をついて口を開いた

 

「お前らの仲間に入る話だが……」

「あら、貴方にそんな話が来てたの。寛大ね。あの人……で?」

女はせかすように俺を見た

「……様子を見させてもらう」

「は?まさかアンタ。良い話、断ろうっての?」

女は語気を荒げた。俺は続ける

「話は最後まで聞け。俺はどちらにも付かない。それに今のアイツは…..知ってるアイツじゃない。信用は出来ない」

「ふーん……それだけ?」

女はつまらなそうに立ち上がった。

「土産にすらならなかったわ。とんだ無駄足だ」

そう言って立ち去った。

 

『お前は大切な奴らしい。特別に殺さないでおいてやろう』

 

見たことがある筈なのに、見た事がない奴。

その手で沢山の事を教えてくれた。筈なのにその手は汚れていた。

 

××××××××

 

『なんと速報です!あの有名小説家がこの町でサイン会を行うことが決まったそうです!』

キャスターはファンなのか、声を荒げて伝える。これでは数分後には狂喜乱舞の一人演劇会にでもなりそうだ。

 

「はっ、どうせどこぞのラブコメの作家でしょう。んな安っぽいのは本とは呼ばないわ」

時刻は夕食前、いつもの野次馬性たっぷりの番組を見ながらベルは思い切り作家の名がでる前から貶した

 

『気になる作家名はこの後何時より特集でお送りします!』

そしてテレビが切り替わりいつものCMになった。

 

「ほー、スクープっていってネタをのばすのは最近のメディアのお得意技だよな」

「お腹すいたーベルちゃんご飯~!」

そういってモコモコのパジャマに着替えたシャルルが現れた。

「あなたを待ってたんですー!ったく風呂だけいっちょまえに長くてどうなってんのよあんたは」

そういいながら夕食のカレーを火にかける。

 

プルルルル………プルルルル

突如として電話が鳴り響いた。俺は急いで受話器を取った。

 

「はい、民宿ひのきんじつです。」

『あ~ウェインちゃんちょっといいか~』

「おじさんかよ、電話ならうちのにかけてくれよ!」

おじさんといっても親族という意味ではなく、同業者の古株で、皆からおじさんと呼ばれているから俺もそう呼んでいる。

『今日は仕事だよ仕事、今うち満室でさ、宿を探してる人がいるんだ。あんたんとこ、どうせ人いないだろ?客人にそっち紹介したからよ、よかったr….」

「ちょ、ちょとまて!今そのヒト向かってきてんのか!?」

『おう!」

おうじゃないだろう…俺は内心悪態をついた。

 

「ベル、客が来るみたいだ」

「はぁ!?」

まぁこういう反応が普通だよな。

ベルはぶつぶついいながら、新しい皿を準備し始める

『んじゃあよろしくな。長期滞在みたいな話してたからそこの方よろしくな』

「えっ!?」

ブッ

 

「お客さん?お兄ちゃんかな、お姉ちゃんかな!?」

シャルルはいつもどうりこたつの真ん中で布団にくるまり聞いてきた

「さぁな。まぁ客が車で食事はお預けだな」

おじさんのことだから厄介な客を押し付けてこないとも限らない、憂鬱である

「あーあ、ガス代がもったいない!」

隣にドスンとベルが座りテレビをつけた。ちょうどさっきの特集が始まるところだった。

「こんばんは~夜分にすみません」

客人がきたようだった。だいぶ早い到着のような気がしたが、おじさんは見計らってかけてくれたのだろうか?

「待ってましたよ。」

「すみません、突然ですがよろしくお願いします。」

そういうと客人は頭をかいた。旅人のようだった。かなりの重装備だったので山からきたのだろう。温度差か頬が少し赤くなっていた。

「うおー、お兄さんだ!今日はどこからきたの?どれくらいかかった!?」

シャルルは音を聞きつけてくるなり質問攻めにした。

 

「すみません礼儀知らずで」

「へへへ、いいんですよ、自分もこれくらいのときはきっとこんなでしたから」

「受付こっち!」

そういってシャルルは客人を引っぱり中へあげた。

 

「ったく。」

俺は久々ににぎやかな夕食になりそうだと思うのと同時に何か不安なものが心の中に渦巻いた。

 

 

「おっ、カレーか!」

客人は鼻をひくつかせてうれしそうに話し始めた。

 

「急なことだったのでこれくらいしか用意できませんで」

「いえ、俺もカレー大好きですから」

フードの隙間から少し笑ったように見えた。

 

夕食をすませて、シャルルとベルが寝た頃、俺は客人と二人きりになった。

客人はティュリネイトからきたとかなんとか、アッシュと名乗った。

 

「ねえお兄さん、ここって開業して何年くらい?」

「んー、半年くらいですね。形からと思ったんですけど、なにぶんお金がかかりますのでね…向こうよりボロくてすみません。前の宿がよかったですか?」

「そっかー、でも開業したばかりの宿ならこれだけで十分だよ」

「ありがとうございます」

「ねえ、少しアドバイスしていい?」

「どこか気に食わない点でも?」

そういうとアッシュは周りを見回した

「ここってさ、微妙に臭うのさ。」

「え、ああ、ごめんなさい、洗濯はまとめて行ってるので」

「血のにおい、残ってるよ。あと火薬の香り」

俺は笑顔のまま固まった

「お兄さん達、これ本業じゃないよね。だってこんなガラガラなら半年経てば潰れてるよ。聞いた話じゃ資産がないとか。その割にはご飯おいしかったしさ。ぶっちゃけ何してんのよ。」そういいながら、お砂糖たっぷりのコーヒーを飲んだ

「どういうことだ」

俺はアッシュを見つめた。

「シラはきりとおさないでおくれよ、話しにくくなるじゃないか。…じゃあこういおうか。Gold Sheep. 」

そういうと立ち上がった。続けて立ち上がる。

「いつから気がついた」

「名前。きんのひつじを並べ替えただけじゃないか」

「俺たちを脅すつもりですか?」

まさか!アッシュは大げさに肩をすくめて笑った

「そんなことをしたら即死でしょう?今日は依頼をすることと、お泊まりをしにきただけですから」

そういうと俺に向き直って切り出した。

「今から特殊な依頼をします。お代は幾らでも。僕のお財布から幾らでも引っ張ってよろしい。三日後、サイン会会場でこの僕の存在を、世間的に抹殺していただきたい」

サイン会?

「お前…あの作家か?」

「ええ、そろそろ表舞台から姿を消すことになりそうですので」

そういうとアッシュはよいを答えをお待ちしてます。そういって客室へ消えた。

 

 ****

 

円が徐々に縮まっていく……集中力を切らす事さえ出来れば……

 

「なんもできねぇって歯がゆいよなぁ…わかるわかるうんうん」

嬉々と様子を見ているあいつは実況を始めた

 

「…登れねぇかな」

周囲のものを投げ終えてしまったステラはそう呟いて球体に手をかけた。

「下手に触ったら危ないって!」

「でもさっき壊れなかったぜー!」

ステラは靴を脱ぎ捨てそっと登っていった。

出来るだけ早く

 

おりてきた

 

そして一言

「無理だな!」

「今回はずいぶん潔いんだね!」

「俺その辺中に入れるとこ探してくるわ!」

そういってステアは円の周りを走っていった

 

「あーあ、あれはだめだな」

アスラは笑って僕をみた。殺すことを何も躊躇してないように見えた

僕は本を広げた。

 

**********

 

「こ、こんな紙切れをどうするってのよ!」

サファリは焦ってるのか声を荒げた。

「この陣をかけ」

そういって古い本をサファリに突きつけた

「お前は絵が得意なようだからな」

「わ、わかった」

サファリはものの数秒でその陣を書き上げた。

「これをどうすればいいの?」

「そのドアに張れ」

といって指をさしたのは俺たちが入ってきたドアだった。

「そんなんで本当にいけるのか?っちょ!!」

そんな俺の質問はきれいに無視され俺とサファリはアッシュに抱えられた。

 

「一時戻すか」

奇妙なことをつぶやきドアを開けた

 

飛び出れば、まぶしすぎるほどの光、そして下には地面……

「地面!?」

「貴様らはこの場を離れ、クロースの元へいけ。こんなところで足止めを食らうとはお粗末だろう」

「え、ちょっとまて」

そういうと俺らを叩き付けるように投げ捨てた

 

「お前のせいでショーは台無しだ。せっかく弟達の借りを返そうと思ったのになぁ!」

そういうと空から槍が降ってきた。

「力任せの魔法は身を滅ぼすだけだ」

アッシュはよけながら徐々にロアールとの距離をつめていく。

 

「そしてあるとき力を鎮めていた精神が崩壊し、よくないものに身をとられる。このように」

そういうと腹部に一発食らわせた。瞬間ロアールは地面に叩き付けられ、黒いドームは崩壊した。

 

「待ち人の家を壊すな。なくなるだろう!」

そういうと思い切り腹部を踏みつけた。

「ゲッ…前に合ったときよりずいぶんと語るようになったな。お前であってお前じゃないようだ。前は俺を殺そうなど思わなかったよなぁ…いつだっけ、仲間に引入れようとした。」

か細い声でアッシュに語りかける

「無駄口はその辺にしろ。その口を閉ざしてやろうか」

「つまり、それがお前の答えか。」

「俺はグレーゾーンだ、それはかわらない。ただし、あいつの居場所を奪うのは、俺が許さん」

そういって足を振り上げ。

 

下ろした。

 

 

俺は初めてアッシュという人物が感情をあらわにしたのを見た。

なんて激しく、なんて悲しく、儚いのか…

 

『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい』

目の前でおこっていることは映画のように思えた。まるでスクリーンのような

俺は何故か怖いと、思わなかった。

 

彼はうわごとのように同じ言葉をつぶやく。

(殺せばすべてが同じだと、なぜ今頃気がついた)

 

ナンデキガツイタノ

 

 

『あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”』

耳の中にはその言葉が残響する。ガンガンする

周りの奴らが目を背ける、俺はっ黒い闇に放り込まれる。もがいて足掻いて

気がついたらかつての町。

     殺せない。君には殺しは向かないよ」

見慣れたヤツがいた。汚れてないあいつが。

 

『ー!!」

アイツって誰だっけ…

俺は声をかけなかった。

 

*******

 

「あれ、もう終わりか。んじゃ、おいとましよっと!」

そういうとつまらなそうにアスラはロアールに近づき担ぎ上げた。

 

「じゃ、俺は上に報告しねえとだ。お人形遊び楽しかったぜぃ!こいつは精々サンプルかなんかになるだろうよ」

 

「お人形?」

やはり彼は何かが狂っているのだろうか。僕が引き止める前に遠くへ走り去ってしまった。

僕はアスラとロアールが下がったあと、ふと思った。このアッシュはロアールと面識があったのか、そして一人で捩じ伏せられるほど強大な力を持っているのか。

そして一瞬感じたすごい気配とその直後にアッシュ達が現れたこと。

 

僕はアッシュに歩み寄った。未だうわ言のようにつぶやき続ける。

「君は、殺めてない。」

「…」

アッシュは僕をみた。気がついたら言っていた。確証はない、でも言ってしまった以上続けるしかなかった。

「息はあったよ。ただ中身は壊れてるだろう。魔法は使えるかもしれない。でも元には戻らないよ」

デタラメだ。でもアッシュは僕を見上げて一筋、涙を流した。

「お前は………………………どこまで付きまとえば気が済むんだ..XXXX」

最後はわからない。掠れて聞こえなかった。アッシュは僕の耳元で

「さっさと行け。…俺の前から消え失せろ」

そういうとおぼつかない足取りで廃都へと消えた。

 

 

後にはどうしようもないやるせなさで、突っ立っているだけの僕らが残っていた。

 

「こんなところで突っ立ってんのもあれだから、行くか。」

スパークが声を上げた。

「そうだね。だいぶ遅い旅立ちになったけど行こうか」

そして僕らは廃都をあとにした。虚しさを引きずって

独白〜Request of a secret〜

今度の月曜日 いつもの店でまってます

 

 

いつものボイスメールで届いた。自分が字を読む事ができないから。

 

数年ぶりに繰り出した街は、随分と不穏な空気に包まれていた。

『君が怖がっているからだよ。いつもと同じさ。』

毎回そう言って笑っていた。

 

いつもと同じ窓辺の暖かい席、常連だからかアイツが頼んでいたからかいつも桃のジュースが出てくる。

そして俺は、いつもと同じようにアイツが来るまでジュースを飲みながら辺りを見回す。

 

「おまたせしました。」

向かいにびしょ濡れになったアイツが座った。空はこんなにも晴れてるのに

「ちょっと、雰囲気変わったな」

「うん、ちょっと染めてみた」

最近の流行なのか赤だった。ただ、目だけはいつも通りの緑で、不釣り合いだ。

「今日は、客が少ない気がするが」

「そうだね、ちょっと、職場で騒動があってさ」

アイツの職場と言うと城だ。それなのにこうやって抜け出してきて良いのだろうか。俺は単純にそう思った。

「一大事なのに抜け出してどうしたって顔してるね。大丈夫、ちょっと休憩にはいってきたから。」

「あいつに何かあったのか」

「!….まぁね…謀反っていうか…」

急にあいつの口が重くなった。ムホンという単語は分からなかったが、それなりに大変な事なのだと感じた。

「死んじゃった」

「…は」

「ラネちゃん死んじゃったよ。死因は正面からの刺殺で間違いない。凶器は分からないんだけど…最悪だよ…」

耳を疑った。王が死んだ。だからこんなにも、騒がしかったわけだ。

「…そうか」

やけに自分は冷静な気がした。いや、冷静を装っただけかもしれない。

向かいに座ったアイツはいそいそと紙を二つ取り出して何かを書き始めた。

「しかし、あんなに強固なガードの中、どうやって…」

「考えられる可能性は二つ、一つ目は外部の奴。もう一つは、内部…」

考えられない。あれだけ人のよい王が何か恨みを買うなど。

あいつはモゾモゾと手を動かしながら喋る。器用な奴だ。

「でもね、部外者はその時間帯、いなかったんだ……つまり犯人は」

 

「王に仕える誰か…」

「ウォイスさまがね、」下を向いてあいつは切り出した。悔しそうに。

「殺した時は、僕は王子と外に出てた。その時はおやつの時間でさ、今日はウォイスさまの番だった。」

「…お前は身内を疑うのか!」

勢いで立ち上がってしまった。グラスが転ぶが幸い中身は空だったので零れはしなかった。そっと座り直す。

中にいた数人な客が俺を見てた。

「そうじゃないよ」

そう言うと彼は首を振った。

 

「疑われてるのは、僕なんだよ」

 

最後は掠れてとても聞き取り辛かったが聞こえた。自分の目の前にいる奴が疑われている。

「お前が…」

「違うよ、僕はしていない。だって僕は王子と一緒に外にいた。残っていたのはウォイスさまだ。僕のアリバイは知っている筈なのに、皆僕が犯人だと」

「王子は」

「面会ダメだったよ。変装してたし……」

疑われているにも関わらず変装までして王宮に潜り込むという度胸は尊敬したいが無茶な気もする。

「多分、皆洗脳されたんだ。僕はちゃんとウォイスさまの事覚えているんだ。ローブに少し赤い物がついていた。」

そこまで言って、一気にコーヒーを呷った。…咽せた

「あの人は僕よりずっと高度な魔法を覚えてるし、ずっと生きてる分知識も深い。みんな信じるんだよ、あの人が一番古株だし」

 

「自分の立ち位地を利用した。」

小さく頷いた

「僕にはあの人の過去と密接に関わる何かがあるんだ。」

「過去...」

 

もしかしたらそれは僕の…いやあの人の何かを壊す物だったのかもしれない。

 

「この国の前に魔道王国があったんだって…字は読めなかったけど。何かで壊滅したらしい」

強固な呪詛がかけられててさ、解くのに時間掛っちゃって…

 

そう言うと彼は耳をそばだてるような仕草をして俺の耳元で話した

「僕はしばらく身を隠す事にするよ。この事は秘密にして」

そう言うと俺にあいつは紙と本を押し付けた。

「これは…」

「しばらく…と言っても一週間だけ此処にいる。この本、君みたいに字が読めない方が却って分かるかもしれない。解読して、いくらかかっても構わないから」

「解読…そんな高度な…」

「一週間後に戴冠式があるんだ。」

 

それまでは此処にいる。

 

戴冠式…貴様何か騒動を起こすつもりか!」

戴冠式は旧王が死亡した後葬儀の翌日に行われるらしい。

 

「…んー、これ以上はいえないな。僕に用があるならここに書いてあるとこに来て。いつでも会いにいくから。」

「おい…!…お前が悪いと判断したらお前には一切協力しないぞ」

最後には俺が折れた。

「…ありがとう。君はいつもどっち付かずだね。」

いつも通り…いや、少し悲しそうに微笑んで彼は「この住所は絶対に王宮の関係者にはいわないで。」と念を押し俺の元を離れた。

 

そのとき俺は、特に考えもせず了承した。よく考えてみればそれは、あいつの運命を決める物だったのかもしれない。

 

 

 

 

 

それからしばらくして、あいつは公では処分されたらしい。…罪人として

 

 

 

数日前に、ウォイスの手先が来た。

「あの人の事、まっててほしい」やけに甘ったれた考えの持ち主だと思った。

エメラルドを渡された。お守りだと。

 

いわれなくてもまっている。ずっとずっと前から。

 

「解読は終わったぞ。いつでも伝えられる。」

「はい?」

弟子らしい奴が振り向いた

「いや、なんでもない」

最近考えている事がぽろっと出てしまう。気をつけなくてはいけない。

さっきの奴、大分目が青かった。あいつに似てる。

 

アイツが書いた場所は、もう別の建物で、少し進むと昔遊んだ社が見えた。

あいつは何を考え此処にしたのか分からない。いつもいくが、あいつは現れない

 

弟子の話では処分、という名目で封印という物をされるらしい。フウインは弱まる時期があると聞いた。ウォイスには秘密らしい。

 

 

「しばらくはどっちつかずで行くか。」

誰にいうとなく呟いた。

 

『お前が悪いと判断したらお前には一切協力しないぞ』

 

俺はまだお前が完全に悪いとは思えてない。

だから俺の出した結論は

もう暫く信じる。

あいつの残したメッセージが読めるまで

 

真実を知るのは死んだ王ただ一人。

 

 

 

「おじゃましまーす・・・・・誰かいませんよねー?」

ガチャリとドアが開く音がした。

俺が待っていた奴らが来たようだ。

さて、自分は頼まれた仕事をするまでだ。

「お前ら、こんな所で何をやっている。」

そう言いながらほくそ笑んだ。

An unripe teacher

「あのー・・・」

「はい。」

先ほどからカウンタ―付近を行ったり来たりしていた女性は僕に恐る恐る声を掛けた。

「どこに行けば国土の資料は手に入りますか?」

「図書館から泥棒でもするつもりですか、たいした度胸ですね。書店にいくらでも売っているでしょ」

「ちちち違いますっ!授業で使うんです!ちゃんと許可証もありますからっ!」

そう言うと彼女はガサゴソとカバンの中を弄ってしわくちゃの紙を見せた。

「図書館ではお静かにしてくださいっ!」

「ごめんなさい!静かにするから怒鳴らないでください!」

それで我に返った僕は小さく咳払いをして女子生徒に告げた。

「国土なのであれば105から10書架、下段をよく探したらどうでしょうか」

 

「あ、ありがとうございます!」

彼女はそう言うと一目散に書架の方へ走って行った。

 

「おまえは鬼か・・・」

「はい?」

声のした方を向くと強面のあの人が本を抱えて睨んでいた。

「お待たせしてすみません。返却ですか?」

「第一授業はどうした。サボリか」

「いいえ、どちらでしょう?」

僕が愛想良くそう返すとあの人は小さく「返却」と呟いた。

僕は手早く右手前の引き出しから印鑑を取り出し、貸し出しカードに今日付けの印を押した。

「それでは本は預かりますのでこれで・・・」

そう言って渡された本を奥の書架に戻そうと持ち上げた所でその本の上にばん!と手が置かれた。

「またサボったのか」

「サボってません。本を読ませてください」

「だめだ」

僕はバツが悪そうにあの人に向き直った。

「理由を言え」

「ですから、しばらくは出る授業が無いんです。」

そう言うとあの人は更に眉間にしわを寄せた。

「サボリか。」

「ふざけないでください。先生でもそのような言いがかりは許しません」

「では何故此処で番をしている。彼奴はどうした。」

「二週間出張なのでその間、書庫の管理を任されました。」

「高等部の学生のお前にか、まあこの図書館の内部にある書架を全て記憶しているのはお前くらいだろうからな」

「薬学は取れましたし、もう残った総合科の授業は殆どないですから。」

書庫の管理がしたかったなんて口が裂けても言えない

 

「お前は何の職に就きたいんだ」

「急になんですか。」

「もう半年もすれば最終試験だろうが」

そう言えばそうだった。

「そうですね・・・先生ですかね。」

人前は苦手なんですが。

「あの、いい加減本をお離しください。冊子が傷みます」

「ほう・・・意外だ。お前なら研究職にでも就きそうだが」

そう言うとあの人は本を抑えていた手を離した。

「これから王宮にでもいかれるのですか?」

「それ以外に何がある。」

「二つ掛け持ちは大変ですね。ならば、油売っていないで早く行かれた方がよろしいのではありませんか?先生?」

そう言って奥の本棚にようやく本を戻す。この本棚は返却用であり、一定数たまると勝手に元の場所に書籍を戻してくれるので便利だ。

 

「お前はやはり薬学を専攻するのか?」

「とりあえず総合学科で受けようと思ってます。」

そう言いながら椅子に座って本を開く。このやり取りが調書作成に思えて来た。

「そういえば眼鏡、替えたのか」

「変えたのは二年以上前ですが。」

「そうか」

そう言うと先生はくるりと踵を返して図書館を後にして行った。

 

それにしても先生は僕と変わらない年に思えるのに何故王宮の重役もこなすほどの技量があるのかと、とても不思議に思えてならなかった。

 

 

一人は言う、「戦いなど虚しいだけ』 一人は言う、「僕を一人にしないで』 一人は言う、「人それぞれで良いのだ』 一人は言う、「片方を守る者、もう片方を失う」 四人は言う、「この物語を作るのは自分たち自身なのだ。』と、 だから僕は守る、彼女に頼まれたあの子と、この世界の運命を・・・・・・・・